カテゴリ:虫歯の電気化学説
前回のつづきで、
https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202109200000/ リンクを全部遡って見ていただかないと意味不明だ。 今回はこのシリーズの最後で、黒変している虫歯は必ずしもひどい虫歯ではなく、むしろ問題がないことが多いという症例。 黒い物質は硫酸鉛還元細菌の代謝産物FeS(硫化鉄)で、この物質はイオン伝導を妨げるバリアーの役目を果たすので、虫歯の進行は抑えられる。 だからこの黒色色素を除去しようと思う必要はない。むしろ虫歯が進行しないのだからよかったと思っても良い。 この細菌は虫歯菌というより代謝過程でHS(硫化水素)等も発生させるので、口臭の原因菌とも言える。 今回は虫歯の進行程度をダイアグノデントで計測したので、参考にしてほしい。 虫歯はピンク系の色を出す蛍光物質なので、レーザー光を虫歯に照射すると出す固有の波長の光の強度を計測して虫歯の進行度を測る仕組みだ。 DD10〜29が象牙質に達していないC1、 DD30〜は象牙質に達しているC2、 DD50〜で歯科医師の判断に基づき削って充填する等の処置をしても良いということになっている。 DD99というのが計測の上限だ。 いずれもC1で、最大のところでもDD22だった。むしろ黒くなっている歯の方が数値は低い。 よって充填等の処置は差し控える。 飲食後、就寝前の重曹うがいで予防管理してください。 画像に数値を書き込んでいる。画像は鏡像なので左右が逆になっている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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数年前からたびたびブログ拝読しております。
I先生の歯科医院に予防のために通いたい所ですが関東に住んでいるため、先生と同じような考えの歯科医院がなく困っています。 私は今年21歳になる者です。 以前唾液検査をした所、カリエスリスクはそこまで高くなかったものの7年前に入れた保険のメタルインレー2本、10~4年前のCRを詰めた治療済が11本(いずれも神経は抜いていない)あり、二次カリエスの発現が不安です。 2年前に撮った歯全体のレントゲンでは二次カリエスなしだったのですが、おおきく分けて2つお聞きしたいことがあります。 ・ひとつはCR充填した歯について 先生の方法では、う蝕部が残っていても隙間なく充填された状態がキープ出来ていれば腐食は進まないのでむやみに全て取り除かなくても補填すると思うのですが、 私のようにう蝕を全て取り除いた後CR充填をした人の場合、重曹うがいをしていれば天然歯と同じようにずっと虫歯の進行は避けられるのでしょうか? もしCRとの際に新たな小さい虫歯が見られても、重曹うがいの経過観察でダイアグノデント値が下がれば大丈夫でしょうか? ・もうひとつはインレーについて 直接充填する方法以外はセメントの劣化により隙間が出来て、そこから二次カリエスになると書かれていたと思いますが、 それを重曹うがいで抑制することはやはり不可能ということですか? メタルインレーは結局イオン化傾向で歯が溶け出すので、治療法としてそもそも不適というのはわかります。 メタルインレーとの電位差による二次カリエスや、ノンメタルのインレーを入れた後のセメントの劣化→隙間発生による二次カリエスは重曹うがいでも抗えないということですか? 知識が浅いため、変な質問になっているかもしれません。 お忙しい所長文で申し訳ないのですがご返答いただけると幸いです。よろしくお願い致します。 (2021/09/23 10:48:07 PM)
ふたばさんへ
コメントありがとうございました。 的確な理解だと思います。 だた、虫歯の2次カリエスの進行には、2つ自分ではコントロールできないもしくは困難な要因があります。 1つは術者の技量の問題。特にCRはそう。インレーは術者だけではなく、他のスタッフの技量も関係してくるので、問題は複雑化します。材料がどうだから2次カリエスになりやすいとかなりにくいというのは実は関係ありません。ただCRは内部が透けて見えるのでDDでも目視でも問題発生が分かりやすいですね。 2つ目は咬合性外傷の問題。自分では意識することも困難。そもそもの虫歯の最初の要因からしてこの要素は大きいように思う。 いずれにしても硫酸鉛還元細菌だけが住める程度の隙間なら2次カリエスは進行しません。 重曹うがいでその隙間内を常にアルカリ性化できていれば2次カリエスは進行しませんが、現実問題としてそれが可能か?ということに尽きます。 これはケースバイケースということになりますので、即答はできないのです。 (2021/09/24 09:38:11 AM)
mabo400先生
わかりやすい返信ありがとうございます。 技量ですか…野戦病院状態の保険治療が殆どの医院なんか、時間もかけられないしどうしても人の仕事なのでブレ出そうですね。 患者視点では、丁寧なCR充填が得意な医院がお財布的にも歯の持ちを考えてもありがたいですが、医院側の負担はその分大きくなってしまいますね。 噛み合わせも確かに、私の友人でもカリエスフリーの子ほど矯正なしで初めっから歯並びそれなりに綺麗な子多い印象があります。 ただ毎食後phが下がれば進まないというのだけではなく、複合的な判断が必要なんですね。 とりあえず重曹うがいは徹底しておこうと思います。 都内でも先生の電気化学説に則った、のれん分けみたいな歯科医院あれば一定の需要はあると思うんですが、 やっぱり定期検診とPMTCと歯周病/矯正治療だけじゃ経営は厳しいんですかね(^^; (2021/09/25 04:14:30 PM)
phが下がる時間をできる限り短く、ですね!まちがえました
(2021/09/25 04:16:54 PM)
ふたばさんへ
経営的に難しいですね。機械は新規購入はできないので、修理改造しながら使っています。修理の依頼もなく、新製品を買ってもくれないので業者には見捨てられているくらい。 僕は何でもしないといけないので、使いすぎで腕が壊れていて、痛み止めを塗りながらやっています。 人生は苦行だと思えないとやれないでしょう。 (2021/09/26 10:02:37 AM) |
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