抜歯・再植を見たいという方は多いと思うので、今日は久しぶりに過去の症例からピックアップしてアップしてみよう。
当時40代女性、左上4、咬合性外傷性による歯髄炎
2003年の症例で、当時はまだ咬合性外傷に気が付き始めた頃で、対処法がまだ確立していなかった頃だったと思う。
とにかく痛いので、どうにかして欲しい、、!!ということで飛び込んで来られた。
さては歯根破折でもしたのか?と思って、抜いてみた。
いきなり、抜いてみた、というのも過激な話なんだが、再植するつもりではあった。当時、すでに神経を取るとかいうのは、人生100年時代にはそぐわない、上手くいくことの方が稀な、予後不良なだけのアホなことと考えていたのは間違いない。しかし、他の方法では救えない歯の抜歯・再植は普通にしていたと思う。
この方は歯ぎしりが酷い方なのだが、本人の自覚は全くない。しかし、ハードタイプのナイトガードの咬合面を見て欲しい、歯ぎしりの跡がしっかり付いているのが見えると思う。
とにかく痛い、、!というのがどういうものだったのか、記憶は定かではないのだが、破折による歯髄炎かと思ったのだろう。咬合性外傷による歯髄炎についての考え方はまだ確立していなかったのかもしれない。
咬合性外傷による歯髄炎とは、咬合性外傷により根尖付近の血管が損傷し、血栓や血管内壁のデブリが歯髄内部の毛細血管に詰まり塞栓症を起こす。僕は歯髄梗塞と呼んでいるが、これにより歯髄は炎症を起こす。歯髄は小さな閉鎖空間なので、内圧が亢進すると激痛を惹起する。この後、歯髄は壊死する。
とりあえず抜いた後は逆根充して再植した。
当時はスーパーボンドではなくガッタパーチャーによる垂直加圧法だった。
では時系列でどうぞ
この歯は再植から19年、まだトラブルを起こさず、残存している。