40代女性、右下5、Per
ひどい痛みはないが、噛んだ時の違和感、時々腫れるなどの症状があるということで、近くの歯科医院を訪れたが、たとえ根管治療をしても5年持たないだろうと言われたので、うちに来られた。
若い頃アメリカで痛くなったので治療したということだったが、本当に神経を取る治療が必要だったかどうかは分からない。元々歯ぎしりがあるということだったので、単なる外傷性歯根膜炎だったのかもしれない。今更遅いが。
神経を取る治療は半分以上うまくいくことはない、処置中にもしくは処置後でも根管内に細菌感染しているのが主な原因だ。
10年、20年となると手がつけられなくなって抜歯となる。
レントゲン写真でも、歯根周囲に広範囲に広がる透過像(黒くなっている部分)が見える。この部分が膿瘍になっている。膿瘍とは細菌と自身の免疫系が戦っている場所だ。
またあまり見ることはないが、根線付近に石灰化している像が見える。強い炎症症状が続いていたことを思わせる。隣の4番にも炎症が波及している可能性もあるが今回は経過観察とした。
抜歯・再植の前処置として、セラミックインレーの除去とCRでの再建、後ろの6番の近心の虫歯というか、下手なCR充填もやりかえることにした。なぜなら再植後のスーパーボンドによる固定がセラミックスでは接着力が弱いので、すぐに接着剥がれが起こるからだ。
同時に6番のゴールドインレーの咬合調整が不十分だったので、調整もした。
非常に硬いセラミックスで修復してあったので除去に時間がかかった。再植よりも前処置に時間がかかってしまった。
つづく