60代女性、左上3、無菌性歯髄炎というか外傷性歯髄壊死
前回のつづき
https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202402260001/
特に治療痕やクラック、歯周病などの細菌感染の要因が見当たらないケースでは咬合性外傷による歯髄炎が疑われる。この機序に関してはまだ一般化していない。ここで提唱しているだけだ。
今回の画像の最後に咬合紙による犬歯誘導路を見ることができるが、かなり当たりが強いことが見て取れる。
歯ぎしり食いしばり等の咬合性外傷により歯髄の血流が阻害されて歯髄炎ひいては歯髄壊死を起こすことは考えられる。外傷性の歯髄炎で痛みが出ているケースで歯髄を開けて見てみると大血管から見ると末梢の冠部歯髄は壊死しているにもかかわらず末梢ではないと考えられる根部歯髄はまだ生活していることを経験する。
このことは根尖口付近の血管が咬合性外傷力により損傷し血栓などが冠部歯髄の末梢血管に詰まり塞栓症を起こしていることが想起させられる。
咬合性外傷による塞栓症による歯髄炎はワーファリン等で改善することができると思われる。
今日は根管内部を超音波スケーラーのエンドチップで洗浄後、水平エアブローで水分を取り除き、α-TCPの精製水練り+3MIXを根管内に充填し、余分な水分を綿球で吸い取り、2回目の通常練りのα-TCP+3MIXでその上をカバーする。その上にCRで充填して終わる。
儲からないが冠は被せない。お金のことは考えない。
漏洩のないCR/ボンディングシステムを使わないと必ず失敗する。
根管に水平エアブローで水分を吸い上げる
1次根管充填
エンドチップで可及的に奥までα-TCP+3MIXを届かせる。緊密な充填は必要ない。隙間は自然に埋まる。
この時超音波も水流も使わない、ただ押し込むだけだ
綿球で余分な水分を押さえる
2次根管充填
すぐに固まるのでこの上にCRができる
CRでカバーしたところ
咬合確認。側方運動時に強い当たりが認められる