50代女性、左下6、インレーダツリ
今日はごく普通のCR充填の症例。スーパーテクニックとかではなく、一般的な症例もたまには良いだろう。
というか初めてのアップかもしれない。
インレーが外れるかなり以前からセメントは崩壊していて、内部には硫酸塩還元細菌の代謝産物の黒色物質、硫化鉄FeSが付着している。FeSで覆われている歯は虫歯になり難い。
と言うか、ほとんどのセメント合着系の修復物は早期に脱離、もしくは脱離しかかっているのだが、FeSによって守られていると言っても良い。
その理由はFeSは電気的絶縁物質だからだが、多くの歯科医師はこの事実に気がついていない。
もう1つ、歯科医師は経験的には知っているのだが、セメントが崩壊しても最初から接着していなくても虫歯になり難いセメントがある。しかしその理由は知られていない。
それは亜鉛が含まれているセメントでカルボキシレートセメントとリン酸亜鉛セメントだ。亜鉛は歯質よりイオン化傾向が大きいので歯質より先に溶けて歯質を守る。
これを
カソード防食という。
これらは金属の防食技術のイロハだが、歯も金属と同様に扱える。歯の荷電粒子は電子ではなく水素イオンだが。
虫歯の電気化学説を理解すれば全て説明可能だ。
では時系列でどうぞ