上大岡は京急電鉄のおっきな駅ですがお恥ずかしいことにー別に恥ずかしくもないかー、今回が初めての下車なのであります。再開発され尽くした退屈な町なんじゃないかという先入観がありましたが、歩き回ってみると案外にごちゃごちゃゴミゴミとしていて、歩いていてそれなりに楽しめます。まあそう何度も来たくなるような町とは思えないですけど。そんな町外れのほぼ住宅街との狭間のような場所に定評のある酒場がありました。
町にしっくり馴染んだ外観は好感が持てます。入口が左右に分かれています。きっと独り客用のカウンター席とグループ向けのテーブル席のエリアに区分されているのだろうなと、ドキドキしながら右の戸を開けると正解でした。カウンターがあります。酒場通には言わずもがなの「鳥佳」ですが、外観から感じた好感は店内の様子を見ると吹き飛びました。何かイメージしていたのと違って少しも落ち着いて呑めないのです。いや、自慢のもつ焼は確かに上等で、お勧めに任せて戴いたそれはどれもこれもなるほどと思わず頷いてしまいそうな位に旨いのですが、とにかくリラックスできないのです。その理由の一端には、もつ焼き店とは思われぬ価格もありますが、それ以上に野心剥き出しの割にはチャラチャラしたお兄さんたちがうようよいるのと、そして何より若い娘さんが余りにも多すぎる。これほどまでの従業員がいるべき理由があるのだろうか。年長の人がきっちり教育しているらしく、浮ついた感じはないのですが、それが逆に客の一挙手一投足を見逃すまいとしているように思われて、やはりどうしてもその視線が気になって今すぐ立ち去りたい心持ちにさせられるのでした。