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カテゴリ:神奈川県
弘明寺駅は、京急本線と横浜市営地下鉄のそれぞれに同名の駅があります。弘明寺商店街は、その両駅を結ぶように伸びるなかなかに大きな商店街で、しかも寂れない程度にうらびれ感もあって好きな商店街の一つです。その外れの雑居ビルの一棟に渋いけれどいかにもここにあるのが当然であるかの如くに町の風景に溶け込んでいるーでも喫茶好きであればここを見つけたら喝采を上げずにはいられないであろうー喫茶店もあるのでしたが、それはこの沿線の喫茶店をまとめて紹介することができた時のお楽しみにとっておくことにします。
そんな喫茶店と道を挟んで一本さらに裏手の通りに「越前屋 田中商店」はありました。これぞ酒屋の王道とでも言うべき立派な構えのお店です。そんな店舗の片隅に勝手口のような出口があって、その中の細長い空間が角打ちのスペースになっています。都内の角打ちの場合、店舗内の商品棚などの隙間を縫うようにして無理くりに即席のテーブル代わりのビールケースなどが置かれているだけといったことがほとんどで、ひどい場合だと店先に縁台が置かれているだけということもあります。これじゃあ、公営ギャンブル場の近隣のコンビニ前や駅構内のキオスクの周辺で呑んでるのとそれほど違わないように感じられるのです。一方で川崎や横浜にある角打ちは、独立した呑みの場が誂えられている場合も多く、そうでないとしても何らかの呑むための環境が設けられていることが大部分です。というかむしろこうした店の多くが店舗売より角打ち商売を主力に据えていると言ってもおかしくなさそうです。これはぼくにとってはもう角打ちなどという呼称を用いるまでもなく、酒場そのものであるわけで、加えてその場で調理をすることがないためか、改装を迫られることも少ないようで、古いままの雰囲気をそのまま留めていてくれることが多いのも嬉しいこと。ここもまた数名のおっちゃんたちが日課のように姿を見せて何やらお喋りをしていきます。女将さんは旦那がパチンコだかなんかに出掛けて時間になっても戻って来ないと客に愚痴りながらもそうしたやり取りをするのが満更でもない、って言うかとても楽しそうで思わず笑みが溢れてしまうのでした。 京急の駅に近くなると若干人通りも寂しくなるのですが、そんな一軒が「飲食処 ふるさと」でした。まだ夕方になるかならぬかという時間なのに営業しているのが何とも嬉しくて、この商店街の懐の深さとなっています。ポツンとした一軒家はそんなに古びていないのですが、どことなく風情があります。確か店内はカウンターのみで、スツールが高いのがちょっと座りが悪く感じられます。カウンターには大皿に数品が並べられ、適当に数品を見繕って注文します。若い主人もどことなく気を抜いてリラックスムードです。これから忙しくなることを見通してのことなのでしょうか。日が落ちる前に静かにテレビなど眺めながら商店街の外れの小さな店でのんびりできるなんてなんとも贅沢なことです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/01/13 08:50:43 AM
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