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カテゴリ:神奈川県
四日市への旅も今回でようやく終了です。二日酔いのまま旅を締めくくるのは辛いことですが、もうこのまま家路を急ぐのが良いかもしれません。東海道本線熱海行に揺られながらそんなことを思っていたはずです。熱海駅で乗り換えた列車が東海道本線小金井行であったことも里心をくすぐられるポイントであります。このまま列車に揺られていれば、煩雑な乗り換えも最小限に済ませられるというだけで心が揺れてしまいます。しかし、そこでそうしないのが貧乏性のぼくの唯一の強みであります。まだ、終電までは時間もあるし、心なしか気分も良くなっている。これならもう一軒位は行けそうだと思うともういけません。小田原駅で列車を駆け下りると小田原の町に足を向けるのでした。
町には駅に向かって急ぎ足で歩く人の姿はありますが、町に向かって歩みを進める人はほとんどありません。時間はすでに9時近いし、お盆を直前にしたこの時期なのだからそれも不思議ではありません。目指す酒場は「大学酒蔵」であります。前々から一度訪れたいと思っていた小田原の老舗酒場です。奇妙な屋号の由来などネットで調べればすぐに判明しそうなものですが、そこは人に頼りたくない、というか端的に調べるのが面倒なだけで結局未だにその謎は解けていません。しばしば足を運ぶ―望んでというよりは鈍行旅の疲れを癒やすために時折下車することがある―小田原であるのに、この酒場に来るのがこれが初めてとなったのは理由があります。訪れたことのある方であれば言うまでもないことなのですが、このお店は駅からかなりの距離があるのです。こんな遅い時間になって訪れようというのは無理があるのかもしれないし、第一、お店が早めのお盆休みとなっていてはそれ以前の問題です。もともとぼくは嫌になるくらい小田原には来ているのに東海道の通る辺りまでは足を延ばしたことがありませんでした。小田原出身の旧友はそこを知らずして小田原を知ったつもりになるなと偉そうに語っていたものですが、その理由が少しわかった気がします。確かにこの辺には軒数は少ないけど古い小体な呑み屋の固まった場所もあるし、雰囲気が駅前とはガラリと変わります。暗い町の散歩を楽しみながら歩くうちにいつしか店のそばにいました。明かりが灯っています。もう終わりだよなんて言われかねぬとの不安は杞憂に終わりました。思っていたより小ぢんまりしています。そして店内は思いがけずもコの字のカウンター席とその奥にはまるっきり茶の間のような座敷席があって店の方ともカウンター席の常連たちとも親戚付き合いしていそうな家族連れがいました。子供たちもウロウロと店内を遊び場にしています。店によっては子供の出入り禁止にしているところもありますが、ぼくはそれは行き過ぎな気がします。ただし騒いだりはしゃぎ過ぎてたら即刻退場してもらいたいとは思いますが。でもこの店はそれさえが当たり前の酒場風景として受け入れてしまうような度量を感じます。肴も地の魚介など風変わりなメニューもあって楽しい。ちょっと駅からは歩くけれどまた再訪したい素晴らしい酒場にここ小田原で出会えるとは旅の最後の嬉しい思い出となりました。そういえば日がなぼくを苦しめた二日酔いはどこかへ吹き飛んでしまったようです。 駅までの足取りが軽くなったかといえばそれはまた別のお話。自宅まではまだまだ遠い。小田原駅で先ほどと同じ東海道本線小金井行に乗車できたのが救いです。そしてこの東海道本線のウンザリする往復はこの翌週も繰り返されるのでした。それはもう少し先の報告になります。東海道本線のこと書くのうんざりしちゃいましたから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/10/10 09:46:25 AM
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