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カテゴリ:神奈川県
昨日湯島のお店にお邪魔した際に少し触れたのですが、酒場放浪記という番組には資料的な価値を認めている、いやなにがしかの価値があると信じたい気持ちは常に持っています。いや、そんな高尚な番組ではないし、実際もうちょっと番組の価値を高めるやり方があるのではないかとも思うのですが、シロウトが口を出してもろくな事にならぬので、ここは大人しく見守りたいと思うのです。ほとんどの酒場はそう遠くない将来に姿を消してしまい、ぼくが隠居老人となって残りわずかの黄昏の日々を過ごす時に、通える店が果たして残されているのだろうか、もしかするとかつて録り溜めた酒場放浪記を友として呑むんじゃないだろうかという悲しい予感がまんざら誤りではないと思われるのです。そんな先の事など憂いている暇はないと、夜な夜な各地を訪ね歩いてみるのですが、歩けば歩くほどその確信は深まるようです。せめて耄碌した時に録画した酒場の映像を見て、行っておけばよかったという後悔はなるべくしたくないのです。あゝ、昔こんな酒場があったなあ、あすこはいい酒場だったと懐かしめる方が酒の味はぐっと旨くなるだろうと思うのです。だから録画したそれは放置して今は夜の町に繰り出すのです。
元住吉の駅そばにも古い居酒屋「大衆酒場 亀勢」があります。昔からずっとここにあって、いつでも開いていて、いつもの顔触れがカウンター席を陣取り談笑を交わしている、そんな様子が外観からだけでも思い浮かべることができそうです。チェーンの居酒屋ではそんなイメージが立ち上がってくることなど有り得ない。ところで、いつても迎え入れてくれる別宅のようなお店なはずですが、訪れるのはこれが3度目なのに未だにお邪魔できていないのです。それは店が悪いのではなく、ぼくが元住吉に足を運ぶのが決まって年末年始だったりお盆だったりするのだから不満を言うつもりはありません。いつの事だったか旅行の途中で地方都市に住む両親の家に向かったところどうしたものか不在で、それが深夜だったものだからひどく侘びしく辛い気持ちになった記憶が蘇ります。この夜は大丈夫だったので胸を撫で下ろすのでしたが、店内には多くの客が席を埋めていて、ようやくのことでカウンターの隅の席を確保できたのでした。ここではカウンター席こそが上席らしくて、ぼくの後を追うように入ってこられたお姉さんは恨めしそうにこちらを睨めつけるのです。しばらくして端っこの一席が空いたら店の方にあちらに動いてもらえるかと頼まれたので移動したら、ぼくのいた席にちゃっかりさっきのお姉さんが連れの方と収まっているのでした。それにしてもこのお店のお客さんたちのふれんどりーなことといったらそれはすごいもので、しんみり呑みたいというぼくの意向などお構いなしにひっきりなしに語りかけられるのです。それにしても90歳にならんかという親父さんの姿は実に気持ちを和ませてくれる。包丁持つ手に一抹の不安は感じますがまだまだ頑張ってほしいものです。そうそうここの肴はでかいし、一人では持て余すほどだから数名のグループがいいかもしれません。この間のおっちゃんたちまた今晩も集まってるんだろうなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/10/14 08:44:53 AM
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