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カテゴリ:神奈川県
小田急江ノ島線は、普段乗り付けぬ路線で来る度に新鮮な旅情を感じさせてくれるお手軽さが好ましいのです。都内近郊の尽くの町を熟知してみたいとの野心もなくはないのですが、でも実際そうなるには時間と予算は限りがあります。第一、行こうと思いさえすればすぐに行って帰ってこれるところにいくつかの候補地をカードとして持っておくのは、精神衛生上非常に好ましい。例えば、退屈な休日の朝、ゆっくり寝ていればいいのに妙に目が冴えてしまったとする。財布にも一万円札が残っていて言いつけられている用事も何もないなんて好機に恵まれたとする。東京メトロや都営交通、東急電鉄は乗り付けていて気乗りしない、そんな時にオトクな切符もない小田急電鉄に揺られて出掛けるのは案外気が利いているように思われます。これか報告するのは、そんなとある休日に何軒かの入りそびれていた喫茶店に立ち寄ったり、食堂で昼呑みしたりと、だらしなくも甘美な休日の夜の出来事であります。昼間のことはいずれ気が向いたときに報告させていただきますので、悪しからず。
開店時間が5時かとメモしてあった「珍満」が早くも営業を始めています。3時からの営業時間に変更となったようです。それなりに歴史のあるお店のようですが、改装されたらしく外観や看板のケバケバしさは中華料理店のようでちょっといただけない。これも時を経ていけば味わいも出てくるのでしょうが、せめて看板は以前のものをそのまま活かしてもらいたかった。と早速にわがままな感想を口にこそ出さぬものの、腹の底では呟きながら店の奥に通されました。奥には手前の老舗感まるでなしの雰囲気とは一転した良さげなカウンター席があります。アルミだかステンレスだかよく分からんのですが、火災防止のためばかりでなく、手入れの容易さを目途に設けられたらしきぶっきらぼうな実用性に富んだ造作が風情に繋がっていて、悪くない感じではあります。お値段は幾分高めではあるかな。湘南を外れたこのエリアにはホルモン焼店が充実していて競合店も多いはずだから、かなり強気に思われます。よほどボリュームが味で勝負してるんだろうなと思いましたが、それもさほどの事はないから、南林間で呑むといえばここというプライオリティーを得ているということなのでしょう。ぼく個人として感心した、いや感心したなんていうのは随分高い位置から物を言ってるみたいなので、好ましく感じたのは店の方たちが総じてちゃんとしているところでしょうか。笑顔で接客のマニュアルめいたものが存在するのではなかろうかと思うくらいです。そんなことで、まあ地元の方が好んで通われるのがよく分かるそんな一軒なのでした。 もう一軒行っておこうかと駅をせに歩き始めたらすぐに「立呑や」という置看板に行き当たりました。どうやらビルの奥に進むとその酒場があるみたいです。しかしまた何とも工夫のない、しかし分かりやすいことこの上ない屋号にしたものです。灯りに導かれるようにビルの奥へと誘いこまれる様はまさに蛾のようなものです。ひらひらならぬふらふらとビルの隙間を歩いていくとその行き止まりに店は確かにありました。何だか自分はこれからとんでもない危険地帯へと足を踏み入れているのだという自覚はありながらもその誘惑を断ち切れぬのであります。入ってみるとドラッグ漬けにされるのではないかというヤバさとは対極の緩くて人生の彼岸に迷い込んだかのような空間が待ち受けていました。この場末と言い切るには躊躇するような独特な雰囲気には気筒な言葉が見つかりません。入ってすぐにカウンターがあってそこにはガラス張りの小さなショーケースに10品弱の肴の見本が飾られています。アラ煮大根100円也を所望して、品書きで目に付いたビールというか発泡酒ー第三のビール?ーをお願いします。グラスはセルフサービスなのね。手前の立ち席は混んでるけど奥の椅子ありの席は空いています。下手に座って呑むより立ったままの方が楽なのかも。今現在腰痛に苦しむぼくにはよく分かる。椅子席の方は独り客が2名。いずれもテレビを眺めながらの呑みです。ぼくもまあその仲間に加わるのですが、二人はぼくを仲介役というか、スカッシュの壁のようにして会話をするものだから彼らの倍の対応をせねばならなかったのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/12/29 08:30:05 AM
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