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カテゴリ:神奈川県
今回は沿線の方でなければまず聞き覚えのないであろう六会日大前駅に行ってきました。六会という地名とオオバコ大学の日大があるから組み合わせちゃおうという安直かつガッカリなネーミングの駅名です。小田急江ノ島線の藤沢からすぐの駅ではありますが、日大の他にこれといった施設もないのでわざわざ訪ねるようなこともそうはないだろうし、ぼくもこの食堂の存在を知るまではそう思ってました。駅を出てみてもいかにも冴えない郊外の感さんとした駅前風景が広がるばかりで、商店街と呼ぶには躊躇いを覚えるような殺伐とした眺めです。時は昼下がりのピーカン陽気ということもあって、侘しいながらも不思議に脳天気な雰囲気ですが、これは町並みよりも天候が勝ることがもたらす錯覚なのだと思われます。そんな単調な駅前を抜けるとここだけは列をなすラーメン店がありましたが、そこは横目で見やるに留めます。行列をなすラーメン店には食指が伸びません。そこからは真っ直ぐに整備された単調な住宅街が続き、ウンザリとした気分で歩き進みます。こんな町外れに大衆食堂が本当にあるのか、若干の不安を抱えてなおも歩みを進めるしかありません。
やがて古いけれど住宅にしては大きすぎるトタン張りの建物が見えてきます。どうやら「高砂食堂」の裏手に出てしまったようです。表に回り込むとそこにはネットで見ていたとおりの田舎のドライブインのような質素で飾り気のない大きな建物の全容が顕になります。そうそう、子供時分に地方の各地を転々としていた頃に、よく連れて行かれたのはこういうお店です。いそいそと店内に入ると食事時は過ぎているのに結構な人数のお客さんがおります。学生も多少いるみたいですが、駅から遠いこのお店にわざわざ来るとも思われずどこか日大以外の学校に通う学生なのかもしれません。混んでいるといってもたくさんあるテーブルに一人で陣取る客も多く、相席するまでではありません。大概はいかつい表情の現場作業員風の身なりの方たちで彼らこそこうした大衆食堂の主役であります。ぼくのような通りすがりの者は、店の隅っこに大人しく控えるのが正しい振る舞いとなるはずです。とか言いながらテレビの見やすい上席を確保するあたりが我ながらしっかりしている。残念ながら撮影のテクニックには無念を禁じ得ないもののフォトジェニックな構図の確保可能な席取りにはそれなりの自負があります。元来横着者なので、写真を撮るなどという作業は本当に憂鬱なのです。でもいつか遠くない将来に日本中の居酒屋が殲滅されたとして、その時にこうして撮り溜めた写真を眺めながら呑む時が来るなんてことを考えたりもするのです。さて、そんな暗い話はさておくこととして、ハイサワーを注文しつつ、食べるのはラーメンとカレーのセットとは相変わらずの保守的なものとならざるを得ないのが、ぼくの限界であります。でもまあ好きなんだから仕方ないね。こういうのすっごい旨いわけじゃないし、量が飛び抜けて多いわけでもない、でも好きなものはいくら炭水化物が被ろうとも食べたいのだ。そして、結局腹一杯になり、己はこれ程に食が弱かったのだと思い知らされ、ションボリして店を出るのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/01/19 08:30:04 AM
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