|
カテゴリ:神奈川県
鶴見という町は、鉄道趣味のあった頃には、機会を見つけては通り過ぎていたものですが、単に乗り回すことに満足できなくなった今では、随分もったいないことをしたなあ、もっとあちこちを途中下車家ておけばよかったなあとも思ったりするけれど、興味の対象なんてものはほんのちょっとしたきっかけで変わったりするものだからそれはそれで良かったのかとも思うことにします。だから鶴見の町を初めて自分の足で歩いたのはつい10年ほど前が初めてだったのですが、随分ごちゃごちゃした町並みだなあ、そして相当いかがわしくて猥雑であるなあと興奮し、そして最初は足早に二度目はじっくりと徘徊したのでした。そう、もしかするとぼくの徘徊癖は鶴見散策が起因となっているのかもしれないと、もっともらしいことを語っていますが、まあ満更嘘でもないはずです。小汚い酒場もそこら中にあって、そのどれかしらはきっとぼくの気に入るに違いないはずでしたが、いかにも数が多い。ぼく一人の身ではとても回り切れたものではない。毎晩通い詰めれば、ひと月も掛からずに回りきれるはずですが、自宅からは近くはない。そんな風に思い始めていたら酒場放浪記で何度目かの鶴見酒場が放映されたようです。じゃあ、まあ眉唾で行ってみることにしようかな。
訪れたのは「源氏」です。まあ外観は煤けて古びていて、悪くないけれどまあ映画のロケにでも使われそうな、典型的にベタな雰囲気の店でありました。引き戸を開けるとテーブルが間近にあり、随分窮屈な配置になっているからには繁盛しているということなのでしょうか。まだ時間が早いのでお客さんはカウンターにお一人。チューハイだかを頼んで改めて店内を見渡してみると、うん、これはなかなかいいや。入ったときには窮屈そうだったテーブル配置も収まるべき席に収まってしまうとしっくりとくるし、奥の小上がりも寛げそうで下手すると住み着いてしまいそうな雰囲気すらあります。店はオヤジさんとその娘さん夫婦なのかしら。若い女性が一見すると上品で楚々とした印象なのに実際にはハキハキと元気が良くて店のムードメーカーになっているように思われます。後を継ぐかどうかは分かりませんが、少なくとも当分は安心して良さそうです。お通しのお新香が正月疲れした胃腸に優しいけれど、焼物はいっておかねば。こちらはまあそこそこのお味ですね。砂肝ニンニクという品は焼物より食べやすいというのはどういうことなのか。バターだかマーガリンで炒めているらしいので、こちらの方が油分が多いはずなのに。炭の香りはバターより重いのかしら。ところでこの品、値段の割にアレレと思う位にちょっぴりしかないので、そこら辺は覚悟の上お求めください。悪くない、だけれどぼくの夢想する鶴見の酒場はどうもこことは違っているようです。鶴見の酒場を虱潰しにしたいようなことを始めに書きましたが、ここで呑んでいて気持ちが変わってきました。鶴見の酒場は仕事帰りに軽くしんみりと一杯引っ掛けるのが似合いそうです。焦らずじわじわと通うのがいい。だからハシゴはよその町にしようと次の町に歩きだしたのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/01/21 08:30:04 AM
コメント(0) | コメントを書く
[神奈川県] カテゴリの最新記事
|