|
カテゴリ:葛飾区
金町を抜ける金町線は松戸駅方面に江戸川に沿って走る道路でありますが、以前はここを車でよく通ったものでした。さして面白味のない通りではありますが、時折飲食店が視界を通り過ぎたりしてここであれば金町駅から歩いてもそう遠くはないからいずれ来ることにしようと思い続けてもう随分時が経過してしまいました。外出もままならぬ不便極まりない日々を多くの人々が人生で初めて経験しておられるのでしょうが、そんな稀有な記憶もそう遠からず風化するか常態化するのでしょうから、人間というのは思った以上に適応力があると思えるのです。なかなか思い切って出歩けぬから引き籠りのような日々を過ごすことにもすっかり順応した一方で、猛暑の中を熱中症のリスクも辞さずに彷徨うのはとてもしんどく感じられるようになったのでした。目指す中華飯店に到着するも暖簾が下がっていません。しかしまあ店内には人の気配が感じられるのでもうボチボチで開店するかに思われます。時間潰しをするのも難儀ですが、もしかするとGoogleマップでは知り得ぬ酒場などあるかもしれぬと金町線の裏手の通りを歩くのですが、この通りは旧水戸街道であったようです。どうりでその旧道には葛西神社というそれなりに格式の高そうな立派な神社があるので、軽く挨拶を済ませて元来た道を引き返すのでした。
だからつい昨日のお店の後に「三勝屋」にも立ち寄り一挙に片を付けることにしたのでありますが、これは案外正解であったのです。というのが、先の店はいかにも町中華という品が揃っていたから、連チャンで中華料理を口にするのはちょっとばかり抵抗があったのですが、この通りではもっとも目立っている飲食店であるお店では、中華料理以外の酒の肴が充実していたのでありました。これは中華料理でもあり酒の肴としても定番である鶏の唐揚げなど頼んでみたのですが、こちらはどこかしら冷凍食品的な風味が感じられてちょっと残念な感じであります。たいかすなる品書きがありますねえ。正体がなんであるか主人に聞いてから頼もうかと同行者に尋ねると、いやここは知らぬままに注文するのが正解でしょうとの答えであります。この男は普段はまったく酒を呑まぬ男で、かと言って嫌いじゃなくて単に呑むのが面倒だったり、呑めば旨いと思うこともあるけれど呑まなくてもそれはそれで一向に構いはしないという酒呑みの風上にも置けぬという評価にもなるのであるけれど、誘えば基本的には断らぬ善人であり好奇心も旺盛な奴なのです。ということであれば「たいかす」なる品を頼むにこちらとして否定する理由などありはしないのです。果たして卓上に運ばれてきたのは、なるほどなんてことはない鯛の粕漬だったのでありまして、安直なその答えにはいささかの落胆を禁じ得ぬけれどこれが風味絶佳だったから無論のこと文句などありはしないのです。そうとなれば呑むのは清酒というのが穏当なところでありましょう。無骨にコップ酒で十分なのです。身も厚く食べ応えがありまして、そういやここは中華飯店だなと思い返してみるとこの品はやはり嬉し楽しい一品に思えてくるのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/09/06 08:30:06 AM
コメント(0) | コメントを書く
[葛飾区] カテゴリの最新記事
|