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カテゴリ:酒場
前回、映画における大長編の話をしましたが、あまり興奮が伝わらなかったように思うのです。それは、前回書いたようにぼくが見たもっとも長い9時間30分の映画などあっさりと凌駕するだけの長尺作品があることを知ったからなのです。迂闊なことに映画だけが人生だなんて発言を恥ずかしげもなく述べていた当時にとっくに完成していた作品が存在したのですね。しかもサイレント期にすでに7時間とか8時間に及ぶ映画があったとは驚きです。
『Cloth Peddler』(1917)7時間 ものみの塔聖書小冊子協会『創造の写真劇』(1912-14)8時間 まあ、実際にこれらを見通す根気は今はもうないと思うのですが、今後これを見る機会は到来するのでしょうか。 前回書きそびれましたが、ジーバーベルクの以下の作品も見たような、見ないような。アテネフランセ文化センターで見たような気がするんだけどなあ。 ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク監督『ヒトラー、あるいはドイツ映画』(1977)7時間22分 まあ、このよく知られた映画を覚えていないようでは、もう一度見直せということでしょうか。ぼくが今回大長編映画について調べる以前に認知していた最長の映画は、 ジャック・リヴェット監督『OUT 1』(1971)12時間53分 でした。この作品が日本で公開されることなどあり得ぬものと思っていましたが2017年に公開されていたのですね。実はこの作品、かつて見たくて見たくて焦がれていた頃に、日仏学院の図書室でヴィデオテープの貸出をしていたのです。思わず禁を犯してヴィデオにて鑑賞してしまったのでした。奇しくもということもないのでしょうが、アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ、つまりはかつての日仏学院で公開されたようです。こんな映画を前にすると ラヴ・ディアス監督『Ebolusyon ng isang pamilyang Pilipino』(2004))9時間53分 なんてどうということもない気がしますね。 ヨリス・イヴェンス監督『How Yukong Moved the Mountains』(1976)12時間43分 ピーター・ワトキンス監督『Resan』(1987)14時間33分 なんと、ヨリス・イヴェンスもこんな長尺作品を撮っていたのか。これはちょっと見てみたいなあ。ピーター・ワトキンスは『傷だらけのアイドル』なんかで知られるドキュメンタリー映画作家ですね。見たことないけど彼のフィルモグラフィを見るとはったりめいた映画が多いので、この長さも映画そのものの要請ではなくて、はったりのための長さでしかないように思えます。 と世の中には長い映画があるものだなあと驚かされたわけですが、実はこんな映画など半日あれば見れるじゃないかとあざ笑われそうな長尺作品が世の中には存在したのであります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/12/26 08:30:06 AM
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