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カテゴリ:酒場
大長編映画について、思いっきり引き延ばして書いてきました。長くすることを目的としたこの文章のように、長ければ長いだけ目立つし己の名前を歴史に刻めるといった貧しい心構えで撮られた映画ほど見ていて不愉快なものはないだろうと思うのです。以下に列挙する映画がそういう碌でもない資源の無駄遣いでないことを期待するところです。仮に大長編映画というジャンルが誕生するとしたら先述のような邪な理由は当然のこと、物語の要請するところでもない、まさに映画が映画であることを要請したために長尺となってしまったというような映画であることを願いたいものです。
John Henry Timmis IV監督『The Cure for Insomnia』(1987)85時間 なんと、85時間に及ぶ映画があるんですねえ。寝ずに見ても3日半もかかってしまう計算になります。でもまあ、分かりやすい例で見ればNHKの大河ドラマが大体50回/年×45分/回=37.5時間となるので、2.27年分の放映時間だと思えば、案外どうということもないという気もしてくる。大河ドラマは1963年から開始されたようだから、大雑把にこの映画25回分の放映時間だったということになります。 スーパーフレックス(ビョルンスティエルネ・ロイター,クリスティアンセン,ヤコブ・フェンガー,ラスムス・ニールセン)監督『モダンタイムス・フォーエバー』(2011)240時間 けれど、上映時間が240時間となると話は別であります。10日間掛かりで見れば済むと書けばなんてこともなさそうでありますが、大河ドラマを見るペースで視聴したとすると6.4年掛かりということになります。1篇の映画を毎週コツコツと6年以上見続けるなんてのは、想像するだけでゾッとします。 アンダース・ウェバーグ監督『アンビアンス』(2020)720時間 この監督、今年中をもって引退を予告しており、本作が絶監―こんな言い方はないけれど―となるとのこと。たった1度だけ全世界で同時上映されるんだそうです。再現性が取り柄の複製芸術である映画がどうして1度きりの上映なんだと思ったら、なんとこの監督、上映終了後にフィルムを破棄してしまうらしいのだ! 7時間20分に及ぶ予告編がアップロードされています。これを飛ばし飛ばしで見てみたけれど、いやこれはやはり資源の無駄なんじゃないかな。それとも720時間見続けたのちには、これまで見えなかった何物かが見えるようになったりするのだろうか。 http://www.youtube.com/watch?v=RLevgVmZ8rE お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/12/27 08:30:05 AM
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