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カテゴリ:葛飾区
青砥の酒場巡りの2軒目。ぼくの好き嫌いなど大方の人にとってはどうでもいいことかもしれませんが、ぼくはさほど青砥という町に愛着を覚えません。住めば都かもしれぬしそうじゃないかもしれないけれど、ぷらぷら散策した限りにおいては、普段の買い物にもちょっと不便そうに思えたし(食品スーパーが足りていない気がする)、飲食店は少なくないものの入ってみたいと思える店はそう多くはないのでした。お好み焼き店もちらほら見掛けてちょっと気を惹かれたけれど、開店後しばらくしてまた通った際にも客の入っている様子もなくて、酒場らしい酒場に客がいないならまだしも、食べる方をメインに据えた店で客足が途絶えているというのはやはり悪い想像歯科浮かんでこないのでありました。だから通りすがりの者にとっても青砥は下町っぽい立地と雰囲気があるはずなのに実際に訪れてみると肩透かしを食らったかの印象を抱いてしまうのでした。ところが、先に訪れた洋食店に向かった際にたまたま目にした一軒の酒場とそれを含めた景色がいかにも良いムードで、あっさりと好感度が増すのだから憎まれ口をたたく割にぼくも実に単純な性格なのでありました。
さて、上記の風景とは具体的には自動車道路から直角に伸びる薄暗い路地の突き当りに銭湯「成弘湯」があってその手前にぼんやりと明かりが漏れ出しているのです。これを遠目に見てどうしてその明かりの出所を酒場と判別できるのか、理屈はよく分からないから、これはもう経験値がそれなりに上がっているからと理解しておくことにしますが、一軒目の洋食店で呑みながらすでにこちらのことが気にかかって仕方なかったのです。もしかするとそこは酒場なんかじゃなく、それこそ仏花店だって不思議ではないのであります。でもぼくはそこが酒場であることを確信しています。路地に足を踏み入れやがてそこが呑み処であることが確信に変わり、店名が「呑み処 おまぬけ倶楽部」なる脱力系であることが判明してもなお、ぼくのここに入りたいという意思を挫くことにはならなかったのです。ぼくはたった一点を除くと大いに気に入るはずであってもただその一点の瑕疵があるばかりにどうしても気に沿わない場合があるのですが、ここには不思議と好きになれそうな予感を感じました。実は「Rock Jazz Blues & Country」なるぼくの趣味とは相容れぬコピーも瞬時懸念を覚えなかったとなると嘘になりますが、それすらすぐさま打ち捨ててしまえる位に店そのものへの強い興味を抱いてしまったのです。もとよりぼくは、繁華街の呑み屋よりも孤立した酒場への強い執着があるのです。入口に立つと店内はほぼ満席でありまして、こちらは2人であります。こういう時には1人でなかったことを悔やまされるのです。同行させたS氏には誠に失礼な話であるけれどここで別行動を申し出ても良いとすら思うのでした。しかし幸いにもお客さんたちが席を詰め合っていただいてわれわれに席を作ってくれたのです。ご主人はテキパキと仕事をしながらも「お客さんたち、音楽好きなの」と言葉を掛けてくれます。嘘は付けぬから「まあそれなりに」てな曖昧な答えをしても嫌そうな顔をされる訳でなかったのは有難い。糸こんにゃくをごま油とにんにく、醤油で炒めて刻みのりを振っただけだったり、コンビーフを単に炒めたりとちゃちゃっと作れる、でも酒場で摘まむとちょっとうれしいそんな酒呑みの心に寄り添った主人にも感心させられたのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022/10/14 08:30:08 AM
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