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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:イタリア映画
北イタリアの街トリエステにやって来た一人の女性、イレーナ。 ウクライナ出身という彼女の過去も、ここへやって来た理由も、誰一人知らない。 やがて、彼女は貴金属商を営むアダケル家で、偶然を装い、メイドとして働き始める。 夫婦の一人娘テアの子守役をし、次第に家族の信頼を獲得していくのだが・・・。 大好きなトルナトーレ監督の最新作。 ノスタルジックな印象をうける監督ですが、暴力的な作品も、秀逸なサスペンスもお手の物。 サスペンスのこちらは、女の性(さが)を鋭く描きます。 目を覆いたくなる場面も、揺るぎないトルナトーレらしさが滲むラストの再生も、良かったです。 盛りだくさんで、内容は複雑なのに、2時間できっちりまとめるところ、流石。 R指定にまでなった強烈に痛々しく描かれる彼女の過去―― これはもしかして「あなたになら言える秘密のこと」に、似た展開になるかと・・過ぎりましたがまた違った切り口の、良質な物語になっていたと思います。 なによりイレーナ役の、クセニア・ラパポルトがすごい存在感。 真実がなかなか分からないからこその、ハラハラと、わかった後もまだ続くハラハラが巧い。 そして、最後には、きっちり望むとおりの結末を、用意してくれてる! 要となる彼女の過去は、多少疑問が残って、単に同情すればいいだけのものではないのが、難しいところでした。 こんなことが実際に行われているの・・? この背景、ウクライナのことを調べてみなければわからないものが、あるのかもしれません。 醜と美、ノスタルジー、怯え、おぞましさ、崇高さ。 たくさんのものを巧みに扱うトルナトーレ監督が、これからも楽しみです。 危険にとっさに反射できない障害を持つテアに対して、受身を覚えさせる一連のシーンは、少しキツかったけれど、とはいえ2時間しっかり楽しませてくれる良質な作品でした ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 ジュゼッペ・トルナトーレ 製作総指揮 ラウラ・ファットーリ 脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ 、マッシモ・デ・リタ 撮影 ファビオ・ザマリオン 編集 マッシモ・クアッリア 音楽 エンニオ・モリコーネ 出演 クセニア・ラパポルト 、ミケーレ・プラチド 、クラウディア・ジェリーニ ピエラ・デッリ・エスポスティ 、アレッサンドロ・ヘイベル (カラー/121分/R―15) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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なんだかとっても重そうですがサスペンス要素もあるんですね!
この監督さんの映画って見た事ないです。 ウクライナのこと全然わかりません。 あの辺り、相当大変な国なんでしょうね。どんな過去なんだろう?もっと勉強しなければ。 是非観たいと思います。 (2007.11.10 10:24:18)
ベティ333さん
こんにちは。 サスペンス映画です。 いい映画、いっぱい作ってる監督さんで、大好きなんです♪ >ウクライナ 調べてみたのですが、近年とても貧しくなったことしかわかりませんでした。 国の貧しさが生んだ悲劇とかとは・・でもちょっと違ってます。 母として女として、いい映画だと思いました♪ (2007.11.11 14:23:25)
こんばんは。
そろそろアウトプットの時期でしょうか? 私は相変わらずでして・・・・来週、ちょっと動きがありますが・・・。 なんとなくウクライナの国情が影響しているようですね。このイレーナさん少女の関係がミソ? 旧共産圏の時代を語ったものでは『コーリャ』(だったかな? 二回も観てるのに・・)が好きでした。描き方もいろいろなんですね。 (2007.11.11 23:55:16)
こんにちは!
>そろそろアウトプットの時期でしょうか? うん・・まだのようです。 でも 少しずつ書きたくなってきています。 >私は相変わらずでして・・・・来週、ちょっと動きがありますが・・・。 そうでしたか。動きが・・ 朗報だといいな。 >なんとなくウクライナの国情が影響しているようですね。このイレーナさん少女の関係がミソ? ウクライナから来た主人公の、目論見や過去、すべてに関して、女であるがゆえの強い思いが背景にあります。 そこが見所でしょうか。 サスペンスなのでハラハラ楽しめます。 >旧共産圏の時代を語ったものでは『コーリャ』(だったかな? 二回も観てるのに・・)が好きでした。描き方もいろいろなんですね。 「コーリャ」というタイトル、ないんですよ。 「コーリャ 愛のプラハ」、ではないですよね。 この映画なら大好きです。 暗い過去のない国なんて、ないのですね。 (2007.11.12 15:16:41)
ヤスカイさん
よかった~私も観てて。 いい映画でしたね! ヨーロッパ映画の少年はいい! チェロ弾きのおじさん、お母さんとの電話、ラストは切なく余韻たっぷり。 また見直したいです♪ (2007.11.14 15:01:52)
ウクライナからイレーナが出てきたのですが、あの売春ならびに子供の斡旋が行われていたのは、言語からしてイタリアです。つまり黒かびによって悪事が行われていた場所はイタリアということになります。
(2007.11.21 01:08:07)
>ウクライナからイレーナが出てきたのですが、あの売春ならびに子供の斡旋が行われていたのは、言語からしてイタリアです。
イタリアなのはわかりました。 ウクライナは、ただイレーナの出身がそうだ、というだけだったのですね。 イレーナと黒カビの関係がまだ釈然としないのですが、黒カビの女だったのでしょうか。 それとも奴隷のようにして長年彼の傍に置かれていたのでしょうか。 (2007.11.21 20:44:05)
なのだと思います。
すべてに「思わせぶり」ですよね。 色々意味ありげな要素をスパイスに使っています。 ウクライナはイタリアからは少し離れているし、 彼女がイタリア語を流暢に話すことからして、 (イタリア料理もできるようだったし) かなりイタリアに居たのだと思います。 黒カビがあの工房のメダルを身につけていたことからして 黒カビが主にいたのもイタリアでしょう。 トリエステの一部は元ユーゴで今はクロアチアとスロベニア、 旧共産圏の国から西側への玄関(裏?)の町なのでしょう。 ダルデンヌの『ある子供』にも出てくるけれど、 養子のための赤ん坊売買は欧米では陰では少なからずあるみたいですね。 日本で暴力団が赤ん坊売買していたという話はたぶん聞いたことありませんが。 (2008.01.13 20:26:31)
こんにちは。
相変わらず巧みなトルナトーレですね。 >ダルデンヌの『ある子供』にも出てくるけれど、 >養子のための赤ん坊売買は欧米では陰では少なからずあるみたいですね。 「ある子供」もイタイ映画でした。 人身売買、この時代になっても行われているとは・・・ (2008.01.13 23:53:43) |