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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:多国合作映画
19世紀ロンドン。9歳で救貧院から葬儀屋へ引き取られたオリバーは、理不尽ないじめにあい、ついに家を飛び出した。大都会ロンドン目指して、70マイルを歩き力尽きたオリバーは、フェイギン(キングズレー)が束ねる少年スリ団のリーダー、ドジャーに拾われ、彼らと行動を共にするのだが・・・。 70代のポランスキーが、大作『戦場のピアニスト』の次に撮ったのがこちら、文芸もの。 なぜいま『オリバー・ツイスト』だったのだろう。 どんな思い入れがあるのかわからないけれど、主人公を演じたクラーク少年は、若き日のポランスキーに似ているような気がした。数々の不幸に見舞われ、意地悪されるオリバー少年に、たとえばなにか投影しているとすれば、それは自分自身の一部分のような気がして。 チェコ、プラハで大掛かりなセットを建て再現した、19世紀のロンドンが素晴らしい。この頃のロンドンの猥雑さが好き。紳士がいて、社会の底辺でうごめく人々がいて・・・。石畳、馬車の音、ホームズの生きた憧れの時代を思い、にんまり。 なんだか似ていると思ったら、大好きなドラマシリーズ『シャーロック・ホームズの冒険』でワトソンを演じていたエドワード・ハードウィックが、オリバーを保護する裕福な老紳士ブラウンローを演じている!予期しないサプライズで嬉しかった。 物語の内容は(読んだことないけど)原作どおり、有名なので割愛させていただきます。 ポランスキーの『吸血鬼』の映像感覚と世界観が好きだっただけに、似ているからこそ、遊び心が物足りなくて残念。 単純な感動ものではなく、純粋な子供向けドラマでもない、若干ダークでそこそこ楽しめはするけど、それだけだ。もっと鋭利であっていいし、もっと大人向けであっていい。ずっとダークに、悪趣味に、遊んでくれたらよかったのに。 1968年のミュージカル映画『オリバー!』、こちらもじつはあまり楽しめなかった。もしかしたら、ディケンズの原作自体が好きじゃないのかもしれない。えげつなさが。 監督 ロマン・ポランスキー 原作 チャールズ・ディケンズ 脚本 ロナルド・ハーウッド 撮影 パヴェル・エデルマン 音楽 レイチェル・ポートマン 出演 バーニー・クラーク ベン・キングズレー ハリー・イーデン (カラー/129分/イギリス=チェコ=フランス=イタリア合作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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子供がかわいそうな感じの映画はなかなか観る気になれません。
でもいつか幸せはやってくるんですね!よかった! 小公女とかこの辺りもイギリスかな? 救貧院って名前がすごいですよね。 (2008.08.29 17:58:06)
孤児ものは数あれど
主人公が少女であることが多いですよね。 少年となるとまた一味違います。 私はこの‘お話’自体が好みではない感じです。 >救貧院って名前がすごいですよね 酷いところだったみたいですよ。 本編にも冒頭出てきますが、奴隷のような扱いで、人身売買のようなことまであって。 オリバーが葬儀屋へいったのも 売られたようなものなのです。 (2008.08.30 14:27:07)
こんばんは。
これは観ていません。CMで見て、ちょっと惹かれたときはあったんですけど・・・・ ディケンズの映画化はいくつか観たものもありますが、どうもすっきりしないというか・・・おっしゃるように現代の感覚からすると、ちょっと酷い・・・っていうものがあって、なんとも気分の良い後味にならなかった。 『クリスマス・キャロル』はたくさんあって、きっとハリウッドものだと思いますが、なかなか良い出来だったように記憶しています。もともと原作がそういう作品でしたからね。 ディケンズの作品は『二都物語』『大いなる遺産』などを読みましたが、たしかにえげつないといった印象もありますね。当時のイギリスの現状を声を上げて正そうとした作家の、ひとつの方法だったのかと思います。あ、『二都物語』はフランスか・・・・。 (2008.08.30 23:44:46)
以前ヤスカイさんが『クリスマス・キャロル』をとり上げてらしたときは
いい物語だと思ったので この物語に関しては苦手なだけかもしれません。 時代背景を考えると、国民作家として沢山の作品を生んだ 立派な人だったのでしょうね。 調べてみたら『大いなる遺産』が面白そうでした! (2008.09.01 02:17:23) |