週刊 読書案内 つかこうへい「娘に語る祖国 満州駅伝・従軍慰安婦編」(光文社)
つかこうへい「娘に語る祖国 満州駅伝・従軍慰安婦編」(光文社) 斎藤真理子さんの「韓国文学の中心にあるもの」(イースト・プレス)の案内をしていて、思い出したのがこの人でした。 つかこうへいですね。「熱海殺人事件」で岸田戯曲賞をとったのが1974年、「鎌田行進曲」で直木賞をとったのが1981年、ボクにとっては学生時代、平田満、加藤健一、風間杜夫という俳優に見とれ、演劇の面白さ!に引っ張り込んでくれた張本人です。 そんなつかこうへいが、彼自身、朝鮮半島にルーツを持つ在日韓国人2世であることを語ったのが「娘に語る祖国」(光文社)という作品で、1990年代の終わりころのことですが、今日の案内は、その続編、「娘に語る祖国 満州駅伝・従軍慰安婦編」(光文社)です。 まあ、書棚のどこかにあるはずの「娘に語る祖国」が見つからなくて、こっちがすぐに見つかったということもあるのですが、ネットで書名を検索していると在日韓国人2世つかこうへいさんも洗脳された「従軍慰安婦の強制連行」というサンケイ新聞だかの、10年ほど昔の見出しが出てきて、はてな? で、読み直しました。 この作品では、「娘に語る祖国」では赤ん坊だったお嬢さんが小学校の6年生になっていて、パパが娘に、今、調べている従軍慰安婦の歴史を語ることを通して、人間の生き方を、えらく、大真面目に、だから、まあ、つかこうへい流の劇的デフォルメを駆使しながら語る。という内容ですが、「洗脳」を感じさせる描写はありません。 みな子よ、人にはどうしても取り返しのつかない時間、取り返せない事実があります。誰もが後悔してもしきれないものを抱えて生きているのです。 しかし、どんな時でも希望を失ってはいけないのです。人はその五分を埋め、幸せに満ちた時間を増やすためにいつまでも希望を持って生きていかなければならないものです。(P200) これが、この物語の結語ですが、2010年、62歳の若さで亡くなったのちに、上のような見出しで読者をあおっているサンケイの意図が不愉快ですね。 従軍慰安婦問題が韓国、朝鮮に対する新たな差別の引き金になった10年ほど前の記事のようですが、1910年の日韓併合以来、半島の人たちを強制的に列島に連行し、危険な労働現場で酷使したという事実をゼロであると言い募ることは不可能だと思いますが、「自分から来たんだ!」と言い募り、宣伝する風潮には呆れてものが言えませんね。 日本語を強制し、皇民教育を押し付けた植民地支配の歴史的犯罪については証拠がないでは済まされないわけですが、どう評価するのでしょうね。 あの、つかこうへいが娘に「希望」を語たり続けた! そのことの意味を考えることを忘れてはいけないんじゃないでしょうか。2025-no096-1169 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)