週刊 読書案内 田村文「いつか君に出会ってほしい本」(河出書房新社)
田村文「いつか君に出会ってほしい本」(河出書房新社) 続編の「いつかあなたに出会ってほしい本」(河出書房新社)という本を先に読んで、案内しましたが、こちらが正編というか、田村文さんの「読書案内」の始まりの1冊ですね。 158冊だそうです。14歳の世渡り術の1冊ですから、ターゲットは中学生ですね。ただ、出てくる本を果たして今の中学生が読むのかな?という疑問はありますね。 1987年晩秋のある夜、その電話はかかってきた。 小説好きの友人からだった。東京の実家で暮らす大学3年生だった私は、電話線をのばして自室に引っ張り込めるようにしていて、自室でその電話を受けた。まだ携帯電話が普及していない時代の話である。 「『ノルウェイの森』読んだ?」。彼女は私にそう訊ねた。読んでいないと答えると、彼女は続けた。「絶対に読むべき。明日、本屋に買いに行って」 翌日、上下2冊を同時に手に入れた。上巻は赤一色の表紙で、下巻は緑色。村上春樹という作家の名前は知っていたが、読むのは初めてだった。(P13) 「はじめに―本には読むべき「とき」がある」と題された文章の書き出しです。70歳を過ぎた老人には「そうか、春樹のノルウェイの森は1987年だったか。」 そう思いながら、40年以上昔の、あの頃を思い出させる逸話です。というのは、我が家の棚には田村さんが紹介なさっている単行本に加えて、のちの装幀のデザインが変わった文庫本2種類、合計6冊の「ノルウェイの森」が揃っていたことがあります。出版されたときに買ったのは覚えています。それから十数年の間に3回新しく購入したんでしょうね。映画も見ました。何が、そんなに良かったのか、田村さんの紹介を読んでも思い出せませんが、感じたことは今の中学生はこういう体験談をどう読むのだろう?ということでした。 ボク自身、かつては高校生に向けて、最近では20歳の女子大生に向けて、「読書案内」と称して読書のすすめをプリントにしてくばったりしているのですが、2010年を過ぎたころから「語り方」がわからなくなってしまったのですね。 田村さんは、1冊の本の書き出しで村上春樹を持ち出していらっしゃるのですが、果たして、今、現在、二十歳の女子大生の方の中で、一時、ノーベル文学賞の有力候補として騒がれた村上春樹をお読みになったことがある方がどれくらいいらっしゃるのでしょうね。100人にお1人いらっしゃれば、ボクはホッとしますが、多分いらっしゃらないでしょうね。まあ、ボクの意固地な老人的偏見もあっての現状認識ですが、その20歳ではなくて、14歳に対して、果たしてこの古典的な読書体験の思い出は通じるのでしょうか。 まあ、そんなふうに感じちゃうわけですね。でもね、やっぱり、14歳といわず、いろんな世代の人に手に取ってもらいたい本なんですね。「へえー、そんな話なの?」 それで充分ですね。で、「読んでみようかな。」と原本に進む人が100人に一人いればいいんです。やっぱり、楽観的だとは思いますが、若い人たちに「いつかどこかで」本に出合ってほしいというのが、老人の夢ですね。「あの本読んだの?面白かった?」そういう言葉で、もう一度つながりたいじゃないですか。まあ、そいうわけで、この本もあるよ!の案内でした。2026-no022-1237追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)