週刊 読書案内「詩 楽しいライト・ヴァース 世界編」(河出書房新社)
「詩 楽しいライト・ヴァース 世界編」(河出書房新社) 今日は、こんな本あるよ!の案内です。市民図書館の新入荷の棚にありました。詩集です。「ライト・ヴァースって?」と尋ねられると、ちょっと返答に困りますが、詞華集とかいう言い方で集められている詩とか、言葉遊びとか、ダジャレとかも含む短い詩とでもいえばいいでしょうか。 とりあえず具体例をあげますね。ハリー・グラハムという、多分、20世紀初めころのイギリスの詩人の詩です。 やむをえず ハリー・グラハム ゆうべ女房をころしてしもうた 床にごろりとのばしてしもうた 息の根とめるにゃしのびんかった いびきをとめにゃ眠れんかった で、下に載せたのがもとの英語の詩です。 NecessityLate last night I slew my wife,Stretched her on the parquet flooring;I was loth to take her life,But I had to stop her snoring! 本書の編集者のお一人として名が挙がっている柳瀬尚紀さんが訳されています。 上に貼った、この本の表紙には谷川 俊太郎、柳瀬 尚紀、窪田 般彌、池内 紀、藤井 昇、桑名 一博、米川 良夫、池澤 夏樹、渡邉 一考という、まあ、そうそうたるお名前が並んでいますが、今日、案内しているこの詩集は書肆山田という出版社から1980年ころ出版された「世界のライト・ヴァース(1~5)」という5巻シリーズの詩集を、1冊にまとめて、今年、2025年の5月に河出書房新社が再刊した本のようです。 電車の中で、ぼつぼつ読むのに最適です。 空 壷井繁治空を眺めて一日暮らした空の中には空だけあったとか、 世界がほろびる日に 石原芳郎世界がほろびる日にかぜをひくなビールスに気をつけろベランダにふとんを干しておけガスの元栓を忘れるな電気釜は八時に仕掛けておけ とか、出てくると、懐かしくて、電車の窓から遠くを見ながら、ちょっとボーっとしてしまいますね。一応、本書の目次代わりに原著の題と編集者を貼っておきます。「世界のライト・ヴァース(1~5)」書肆山田1巻「ゆうべ女房をころしてしもうた」 柳瀬尚紀(英文学)編訳19822巻「なげきぶし風の墓碑銘」 窪田般彌(仏文学・詩人)編訳19813巻「魔女様御優待乗車賃無料」 池内紀(ドイツ文学)編訳19824「太陽の半分と月の全部と」 藤井昇(ラテン文学)・桑名一博(スペイン文学)・米川良夫(イタリア文学)・池澤夏樹(作家)編訳19825「神様も大あくび」 谷川俊太郎(詩人)・渡邉一考(編集者)編1983 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)