週刊 読書案内 小関隆他「第二次世界大戦再考」(人文書院)
小関隆他「第二次世界大戦再考」(人文書院) 市民図書館の新刊の棚で見つけました。 日々、映画館を徘徊してるわけですが、例えばナチスとか、戦後の台湾とか、それぞれのお話の歴史的背景が気になる作品と、結構、出くわします。 で、目次にあるナチス「飢餓計画」をめぐる人びとという論文名と、藤原辰史という著者名に引き寄せられました。 藤原辰史さんはナチスの農業政策に焦点を当てて、ボクのような素人にも、実に刺激的な論考、「ナチスのキッチン」(水声社)とか「トラクターの世界史」(中公新書)を発表している気鋭の研究者の方です。 で、目次のその下には台湾人にとっての戦争経験と戦後経験という駒込武という人の論文名もあります。最近、「霧のごとく」という台湾映画を見ました。1950年代の台湾の人たちを描いた作品ですが、映画の背景にある歴史性について、ボク自身、よくわかっていないことが如実に感じられた作品でした。というわけで、読みました。実は、この本、次の方のリクエストがあって返してしまったので引用ができません。しかし、面白かったですね。京都大学人文科学研究所の共同研究班「人物で見る第二次世界大戦」(班長林田敏子)が二〇二四年六月に開催したセミナー「第二次世界大戦再考」(全四回)を書籍のかたちに編んだものである。 京大の先生方の市民向けのレクチャーということですから、論文形式ではあるのですが、読みやすいです。 あやふやな思い出し記事で申し訳ないのですが、面白く読んだのはこんなところです。 一つは、ナチスがポーランド、ウクライナあたり、あるいはドイツ本国でも「食糧政策」の名のもとに、ユダヤ人に限らない絶滅対象者、敵国の民衆に対して何をしたかが論じられていて、印象に残ったのは、ホロコーストの責任者、例えばアイヒマンとかヒムラーとかいう名前はボクでも知っていますが、表紙に写真がありますが、食糧政策の名のもとにホロコーストを上回る数の人間を飢餓死させたリヒャルト・ヴァルター・ダレなんていう人の名前は初めて知りました。 ナチスはアーリア人以外に対して、爆弾とか戦車ではなくて、計画的な飢餓計画で何をしたかが実に興味深く論じられていました。 藤原辰史さんは、例えば「農業」について見直すときに「トラクター」に焦点を当てるというふうに、今までには気づかなかった視点から歴史の見直しをなさっている歴史家ですが、青酸ガスではない視点によってニュールンベルグ裁判によって定式化された第二次大戦史の見直しが実に刺激的ですね。 駒込武さんの台湾戦後史の中では、戦後、台湾にやってきた国民党軍と、大日本帝国支配下で「日本人」出会った台湾の人との軋轢が活写されています。国民党軍は中華民国軍、台湾の人たちは日本軍だったんですね。我々は、台湾の戦後の軍事政権を「白色テロ」とか、他人事のように思い込んで、わかった気になっていますが他人ごとではないのですよ。林田敏子さんのイギリスの戦時の主婦、ボクには懐かしい岡田暁生さんのナチスとリヒャルト・シュトラウスをめぐる話、それぞれも面白かったですよ。 目次を貼っておきます。序論 第二次世界大戦はどんな戦争だったのか? 小関 隆第1章 ナチス「飢餓計画」をめぐる人びと 藤原辰史第2章 台湾人にとっての戦争経験と戦後経験-----植民地支配に翻弄された生と死 駒込 武第3章 キッチン戦線---第二次世界大戦期イギリスにおける主婦の戦い 林田敏子第4章 リヒャルト・シュトラウスってまだ生きていたの? 岡田暁生あとがき(林田敏子) 2026-no060-1275 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)