アリーチェ・ロルバケル「墓泥棒と失われた女神」シネリーブル神戸no256
アリーチェ・ロルバケル「墓泥棒と失われた女神」シネリーブル神戸 あの、唐突ですが、映画を見終えてふと村上春樹の小説世界のことが浮かんだんです。村上春樹が「地下二階」をテーマにしていることはよく話題になるところなのですが、今回見たアリーチェ・ロルバケルという監督さんの作品も、愛がどうのとか、意識がどうのという前に、人間にとっての地下二階、まあ、意識でいえば無意識の部分、存在としていえば時間を無化させるあたりに焦点が当たっているようで、生活的なリアルを前提に見ていると、山場にさしかかったあたりで「なんで?なんで?」 連発になってしまって、自分が面白がっていたのが何だったのかわからなくなってしまうのですね。前に見た「幸福なラザロ」もそうでしたが、今回の「墓泥棒と失われた女神」もそうでしたね。 見終えてなんやこれ?という不可解! 不愉快ではなくて不可解! にとらわれてしまったのでした。 もっとも、帰ってきて調べてみると、原題が「La chimera」、だから「キマイラ」ですからね。墓の奥とこっちの世界が重ね合わされていて当然なわけで、霊感墓泥棒のアーサー君は、あっちに行ったり、こっちに帰ったりして当然! なわけでした(笑)。 不可解ながらも、世界の多層的というか、重層性というかの、深さを暗示されて納得!でした。拍手! アリーチェ・ロルバケルは1981年生まれの女性監督ですが、イタリア映画に対する思い入れも半端ではないらしく、いきなりフェリーニを思わせる大女の登場!(笑) といい、オルミの「木靴の樹」を彷彿とさせるような木下闇・・・ のシーンといい、泥棒たちのキャラクターがいかにもイタリア映画と感じさせるあたりといい、着想も映像も面白い人ですね。 ノンキでわかりやすくて安心な世界にへたり込みたがっている、ここのところの自分自身の安直さを笑うかの不可解が心地よい映画! でした。監督に拍手!ですね。監督・脚本 アリーチェ・ロルバケル撮影 エレーヌ・ルバール美術 エミータ・フリガート衣装 ロレダーナ・ブシェーミ編集 ネリー・ケティエキャストジョシュ・オコナー(アーサー)イザベラ・ロッセリーニ(フローラ)コアルバ・ロルバケル(スパルタ)ビンチェンツォ・ネモラート(ピッロ)カロル・ドゥアルテ(イタリア)2023年・131分・G・イタリア・フランス・スイス合作原題「La chimera」2024・07・21・no090・シネリーブル神戸no256追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)