442398 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

職の精神史

職の精神史

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Category

Archives

2024.05
2024.04
2024.03
2024.02
2024.01

Freepage List

Profile

nao12317556

nao12317556

Calendar

Comments

isaka@ Re:竹山道雄「白磁の杯」(05/28) 突然で失礼いたします。「白磁の杯」は、…
背番号のないエース0829@ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
takokuro@ Re:ヒトラー「わが闘争」(06/08) 「内心に罪の意識があり、自信がない人間…
しみず ぎすけ@ Re:278.笑顔に勝る化粧なし・・・(04/25) 小さな店舗で、運営を任されている清水と…
Abc@ Re:私の外国語学習(05/21) 頭悪すぎm9wwwwwwwwwwwwwwwwww
2008.04.26
XML
※この文章は、2003~2006年に大学生・若手社会人向けに配信されたメルマガ『内定への一言』のバックナンバーです。


227.「ばい菌が病気の原因なのではない。ばい菌の繁殖を許す体こそ、病気なのだ」(石橋湛山)


西南学院大のM君、第一志望のベンチャーキャピタルへの内定、本当におめでとうございます。面接塾で教えた考え方で臨むと、九州の私立大学の、文学部の学生も、東大や慶応の学生を相手に、互角以上に張り合えるんですね。面接塾は、学生だけを対象として作ったカリキュラムじゃなく、百戦錬磨の起業家たちへの営業を通じて練り上げたノウハウなので、面接で通用するのは、当たり前と言えば当たり前ですが。さらに、M君の勢いで野球やアルバイトを語れば、それは、誰も落とせないでしょう。 九州初、大学初、学部初、県で1人…。

この時期になると、毎年FUNで何らかの「初」を聞きますが、人事担当者も、採用した学生が入社後にやめるのが怖くて、なんだかんだ言いながら、結局は自分たちこそ「マニュアル面接」ばかりやっているものです。ずっと営業をやってきて、そういう人たちの心の内は、本当に分かりやすいものでした。

「やっぱ、大学名か学部だよ」。…期待通りじゃなくて、申し訳ないです。

相手にとって「初めての人」になればいいんだから、面接って、本当に簡単ですね。

さて、昨日は4年生の方3人と、「ミニ・ブックオフツアー」に行ってきました。久留米大のMさんが、「日経を読めるようになりたい」という目標を立てたので、一緒に参考図書を探しに行こう、ということになり、福岡で1番か2番目の大きい博多駅前のお店へ。…あるある!みんなで何冊買ったでしょうか。「ケチ本ケチ彦」さんの本までありました。GWの第2回ツアーまでに、きちんと本棚の在庫を頭の中に引越させておきましょう。

その夜、知的向上心旺盛なMさんからさらに質問があり、「日経って、どう読んだらいいんですか?」と聞かれました。本の探し方とか、本の決め方とか色々聞かれますが、今日はその前に、経済紙・誌の読み方について、書いてみます。

僕は海外勤務から帰国し、5年ほど前まで、経済誌の記者をやっていました。学生さんは「記者」といったら「新聞記者」しかないと思い込んでいるようですが、世の中には様々な記者がいるのです。雑誌、広告代理店、プログラマー、システムエンジニア、番組制作者、ディレクター、ファッションデザイナー、不動産、建設、リース…皆さんが聞けば「取材」とは関係なさそうな分野の仕事でも、「相手の話をしっかり聞き、得た情報を編集して、相手が望む商品の形にまで落とし込む」という取材活動が必要です。

その中で、日本経済新聞にも、もちろん記者がいます。僕は経済雑誌でしたが、経済やビジネスを話題とする媒体の記者には、そもそも何が求められるんでしょうか。まず、日経は創業時に「中外商業新報」という名称で創刊された新聞です。読んで分かるように、「国内、海外の商業に関する新着情報」を収集・掲載することが目的です。「商業」とは今でいう経済、ビジネスのことで、要するに、日本でも発展してきた資本主義と株式市場で欠かせない「投資」について、その判断材料となりうる情報を優先的に掲載する新聞、だということです。

明治時代に、「情報」などという、無形で見えない資源の価値を認め、それを自費で購入するだけの余裕と先見性を持った人と言えば、それはもちろん、富裕者層しかいないでしょう。ロイター通信にしても、創業者のポール・ユリウス・ロイターが最初にやっていた仕事は、ロンドンで自社の「設備」である伝書鳩に最新の株価を書いた紙をくくりつけ、お客様である投資家の元に飛ばす仕事でした。新大陸のビジネスチャンスの報道権をめぐって、AFP通信のシャルル・アバスや、ドイツのカール・ヴォルフとあれほど争ったのも、「第一級の投資判断材料は、我が社が手に入れる!」という気迫のゆえんです。

のち、アメリカではいくつかの零細通信社が統合されて「Associated Press」という、現在ではイギリスのロイターと双璧を成す、世界最強の通信社、AP通信の前身が立ち上がりました。その二者に遅れること40年、わが国でも投資判断材料の提供を目的として立ち上がったのが、中外商業新報でした。創設に際し、安田銀行の創業者である安田善次郎は、「これからは情報の時代だ」と言って、現在でいう10億円ほどを寄付しています。

では、「投資判断材料としての情報」とは、一体、どのようなものでしょうか。それは第一に、自社が株式を保有している会社の「財産状況の変動」に関係するであろうニュースです。第二に、自分の会社や投資先の「収益機会の増減」につながるニュースです。第三に、「新ビジネスの誕生」につながるニュースです。だから、日経を読むには、基本的な簿記の知識が必要です。これについては、今後のFUNゼミでもしっかり教えていきますから、楽しみにしておいて下さいね。

今でも日経には、トリノ五輪で荒川選手が優勝しても、WBCで日本代表が優勝しても、一面トップには「キヤノン、5年連続最高益更新」とか、「シャープ、三重県に第八世代のパネル工場建設」といったニュースが並びます。荒川選手が優勝したら、彼女と同じ化粧品を買いたい女性が増えて、その会社の株価は少し上がるかもしれません。しかし、キヤノンの最高益更新は、それとは比較にならない金額です。また、世界のトップ企業が勝利を目指して鎬を削る半導体や先端テレビの分野では、一日で業界地図が変わる発明がなされたりします。

一般に、お金持ちはテレビを見ません。情報とも付き合いません。どちらかというと、テレビを操って、情報源と付き合います。経済紙とは、そういう新聞です。一般の人には、なじみがないのです。ロイターやAP、ブルームバーグなども、独自の投資情報提供サービスをやっています。

日本にも「不動産住宅情報新聞」という、超マイナーな新聞があり、主に不動産投資の情報を掲載していますが、そこが年に一度まとめて届ける「物件取得者情報」は、総数100ページくらいなのに、その値段は45万円。一方、住む人を対象とした週刊賃貸やアパマンショップは、1冊150円。同じ「紙」でも、そこに詰め込まれた付加価値次第では、数万倍の差が付くこともあります。それは一に、読者の要望と会社の情報力、記者の手腕にかかっています。

さて、日経が創刊されたのと同じくらいの時期に、もう一つの「経済誌」が創刊されました。「紙」は新聞で、「誌」は雑誌です。その経済誌とは、今では会社四季報で有名な「東洋経済新報社」です。「東洋経済」という雑誌がよく知られていますよね。ここは、日経が「フロー(流動的な情報)」を扱うのに対し、「ストック(固定的な情報)」を扱うのが特徴。

つまり、「シャープが工場建設」というニュースがフローだとすれば、「シャープ社長に聞く、今後の半導体ビジネス」というのがストックです。つまり、ストックとは「判断の仕方」や「分析方法」としての情報、言うなれば知識や知恵としての情報のことです。フローが「事実」なら、ストックは「意見」と呼んでもよいでしょう。これについては、作文塾で既に教えましたね。両者を巧みに使い分ければ、学生のエントリーシートも、立派な客観性を備え、かつオリジナルの個性が溢れる文章となることを。

東洋経済の名物記者として優れた論説を多数発表し、のち編集長にまで出世し、その後は内閣総理大臣にまでなった石橋湛山は、「ばい菌が病気の原因なのではない。ばい菌の繁殖を許す体こそ、病気なのだ」と言い、国民の良識と知恵を喚起するため、「大いに勉強せよ」と呼びかけました。「石橋湛山評論集(岩波文庫)」には、彼の先見性や分析力を示す、今でもとても役立つ経済評論が、コンパクトな形で、多数収録されています。

最近はこの本をカバンに入れて持ち歩き、マネー塾7のレジュメの下書き作りに生かしています。明治~昭和を代表する名記者の視点を、どうぞお楽しみに。

…というのが、経済情報を入手する上での基礎情報です。ということで、今夜は「情報の属性」について書きます。お楽しみに。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.05.09 00:11:51
コメント(0) | コメントを書く
[内定への一言(人物/思想)] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.