源氏物語が17年ぶりに再放送されると知ったのは昨年末。
大晦日までの二日間、計8時間に及ぶ大長編で、制作時は
おそらく日本中に有り余っていたと思われる資力が、
幸いにも有効に使われた例のひとつはないかと感じさせる
絢爛豪華なドラマ、源氏物語千年紀のハイライトでした。
世界に誇る平安絵巻のなかで、ヒロインは誰かと問うたとしたら
外すことはできない二人の女人、藤壺と紫の上を演じていたのが大原麗子さん。
光源氏の愛着の元となる義母・藤壺と、その藤壺を原型として
理想的に育て上げられた紫の上を、時に可憐に、時に気丈に、最後は
大海原のように広い心、全てを受け入れ昇華できる神々しいさまを
あくまでも美しく表現していらっしゃいました。
その放送の少し前、転倒して怪我を負われたこと、
難病で女優業を休んでおられるといった記事を目にしていましたので
ヒロインに相応しい姿をより感慨深く拝見し、また新しい作品でお目にかかれることを
期待していたのですけれども、昨夜、哀しい訃報をきくことになりました。
千年の後まで伝えられる物語のように、映像の中で永遠に生きられること、
その作品をいつでも味わえることを幸いとして、絵巻での麗しい姿を再見し
しずかに追悼できればと思います。
「源氏物語の日記」
源氏物語(上の巻)
源氏物語(下の巻)