「一般的に『ロココ』とは、18世紀フランスを中心に花開いた、遊び心に満ちた宴の時代」
と美術館発行のガイドブックにある言葉。
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(マリー・アントワネットの時代、ロココ絵画を堪能できる
ヤマザキ・マザック美術館が当地にオープンしたのは昨年。
絵画のみならず、ガレなどガラスや家具のコレクションも充実、
美しい館内で満たされたときを過ごせるのを愉しみに、今年の企画展・
「ロココの雅」について調べようと公式HPを訪問したところ、
ちょうどその日にアップされた新着情報に「ブロガー募集」の文字を発見。
「コンスタントにブログを更新している、美術館で開催されるブロガーデーに参加後、
一週間以内に展覧会の紹介をするブログをアップできる」などの応募用件のもと、
幸運にも、閉館後の静かな美術館でスタッフの方のお話を聞きながら鑑賞、
一定の条件を守りつつ、館内の撮影をさせていただくことができました。
いつものようにモバイルの画像、メモ書きと記憶に頼った拙文ではございますけれども、
麗しい美術館の魅力を少しでもお伝えできれば幸甚に存じます。)
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「流行のファッションを身につけた男女が、人工的に作られた自然の中で恋の駆け引きを
優雅に語らう様子を描いた『雅宴画』を生み出した(ガイドブックより)」という
ヴァトーの作品を、解説をお聞きしながら粒さに拝見させていただくと、
木陰で戯れる人々の纏う衣装や髪型は当時のファッションの過度期をも現し、
扇で隠語を使い、背景の明るい陽射しのなかには貴族お抱えの農民をおいているとのこと。
この美術館を訪れる多くの方が愛好していると思われる名作・「ベルサイユのばら」や、
映画「マリー・アントワネット」でも、プチ・トリアノンでアントワネットが
農村スタイルを愉しんでいる場面がありましたけれども、「自然」なるものは
貴族社会ではファッションとして理解されていたのでしょう。
「枕草子」にも、清少納言がホトトギスの声を探しに宮中から外へ遊びに行くお許しを
お后からいただき、ある貴族の屋敷で稲こきをする様子を面白い風趣として見る、
といった場面が出てきますので、東西の貴なる方々の共通の好みも伺えるような、
興味深い絵になっているように思えました。
ヴァトーの一枚が鎮座する部屋から、まるで宮廷音楽が聴こえてくるような
紅い大広間へ。この時代を愛する方々には垂涎の作品が溢れています。
今回の企画展の白眉のひとつが、18世紀に実際に貴族が身にまとっていた衣装と、
当時のヘアスタイルを再現した展示。
小柄な体躯に盛りに盛った髪の上に当時の最新技術を象徴した船などを載せた
絵でみると珍奇にも思っていたスタイルは、実際の大きさで再現されてみると、
大きく裾を広げた衣装には、髪を結った方、ドレスを着付けた方のセンスも
大いに貢献しているのでしょう、実にしっくり似合って見えます。
結界のそばまで近づいてみると、ドレスには草花の刺繍が一面に施されていて、
無数の手数を踏んだ上に生まれる淡い色合いは本当の豪奢、
当時、貴族は衣装を一回着用するのみだったことと、
大革命などの変遷を潜り抜け、大切に保管されてきたことが幸いしたそう。
これらがほぼ、当時のままで目の前にあるのは奇跡のようなことなのでしょう。
メヌエットの聴こえてきそうな空間に相応しく、「ロココの雅」展 展示室では、
毎週火、木、土曜日の午前11時~、午後1時~に、ヴァイオリン、チェロ、ハープなどの
定期演奏会が行われているそう。
名画のある空間での音楽鑑賞、ロココの時代に浸れそうですね。
続きます。
「ヤマザキ マザック美術館 ロココの雅 公式HP」
☆ 名古屋駅から地下鉄で7分、新栄駅の直通エスカレーターで美術館内に入れます。
「アントワネットの文机の日記」