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テーマ:腎移植(61)
カテゴリ:読書
チェリーセージ
ノンフィクションライター高橋幸春氏の「だれが修復腎移植をつぶすのか」を読んだ。 市立宇和島病院及び宇和島徳洲会病院等で万波誠医師を中心とする瀬戸内グループの医師が腎臓がんなどで摘出した腎臓についてがんが4センチ以下の場合はそのがんの部分だけ切除して腎移植待ちの患者さんに移植して好成績を上げていた実績があったが、それを評価するどころか日本移植学会などから猛烈なバッシングを受けたルポルタージュであった。 外国ではすでにそのような病腎移植は積極的に試みられていたが日本では瀬戸内グループが最初でそれは移植された人にがんが発生する可能性もあり、正式に認められていない医療行為として日本移植学会、日本泌尿器科学会、日本透析医学会、日本臨床腎移植学会などが強硬に反対した。腎臓提供者側からも腎臓受け入れ側からも正式な承諾書を貰っていなかったこともあり、法的にも人道的にも認められない手術だとして万波誠医師は医師免許を取り上げられそうな状況になっていた。 その時、万波医師に助けられた患者さん達が立ち上がり、病気腎移植は俺たちを救ってくれた医療でありそれを否定する日本移植学会などは人道に反するとして彼らを告訴して、長い裁判が繰り広げられた。宇和島徳洲会病院などは家族などからの生体腎移植、死体腎移植などでその順番が中々回ってこない人達にとってこの病気腎移植は大きな光明になるとして患者負担が軽くなる先進医療に組み入れて貰いたいとして申請したがこの本が書かれた段階(2015年)では認められなかった。 病腎移植で助かると思われる患者さんは年々2000例くらいある。それなのにその移植を認めないと言うことは救える命を見殺しにすることで日本移植学会や厚労省は無慈悲であるというのが本書の内容であった。 がんを取り除いた腎臓とは言え、がんが発生してきた腎臓なので他人に移植すればそこでまたがんが出てくるのではないかという懸念は分かるが万波先生達が移植した腎臓からはがんは出てこなかったのである。それでも執拗に反対され続けて昨年10月、万波先生は81歳でお亡くなりになってしまった。 国内の腎移植は14年待ちと言われており、病気腎の移植が認められればかなりの人が恩恵に浴することが出来る。腎臓は二つあり一つをがんなどの病気で切除しても一個残っていればほぼ正常に機能してくれて天寿を全うできる。その摘出した腎臓のがんの部分を取り除いて透析など慢性腎臓病で苦しんでいる人達に役立てることが出来るなら大抵の人はOKすると思う。 万波先生やその支持者達の懸命な努力によって条件付きではあるが2017年12月26日に病気腎移植は先進医療に認められた。今後徐々に病気腎移植で救命される人は増えていくことと思われる。その先駆者だった万波誠先生に心から感謝し、ご冥福をお祈り申し上げる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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