独居老人のコラム・70歳記念吉田山登山、竹中稲荷神社・小説「母と息子の大文字山登山」
★…吉田山、標高105,12m、
山といっても丘になるが、京都盆地の中の独立した山になる。吉田山といえば吉田神社、京都大学になるが、今回は今出川側の登山口から頂上へと歩いた。頂上には旧制第三高校(京都大学)「紅もゆる丘の花」の歌碑がある。この三校出身でノーベル賞を受賞した湯川、江崎、朝永がいる。
頂上の近くには竹中稲荷神社があるが、今回の登山はこの竹中稲荷の取材を兼ねたものになる。しかし、小説「伏見稲荷大社の物語」のネタになる事柄をモウロクしたのか発見できなかった。帰りは「宗像神社」~神楽坂~聖護院のコースで約1時間の登山になった。
画像は上から順に今出川登山口、紅もゆる丘の花歌碑、竹中稲荷神社
★…小説「母と息子の大文字登山」
ある日、年配の女性と若い男性が乗車されて、
「運転手さん、無理なお願い聞いていただけます」
「はい、何でもどうぞ、観光なら得意ですから」
「いえ、観光と言えるかどうか...実は~」と今日の目的を聞かされた。
この親子は、岡山から来た人でこの春から一人息子が東京の大学へ行くそれで初めての日帰り旅行をと京都へ来たが、それが観光ではなくて何か一生の想い出を残したいと言う。
「一生の想い出ですか~」
「はい、この子の父親は早く亡くなり、私は死に物狂いで働いて高校までは何とか、ところがどうしても東京の大学へ行くというので...息子は奨学金とアルバイトで生活は出来るというので、でも東京と岡山では余りにも遠すぎるのでしばらく会えないので...私も二十数年働いた会社が倒産して今は失業保険暮らしの上、体調も良くないし...」
「そうですか、わかりました」と応えたが私の頭はパニックになっている。
清水寺の舞台から飛び降りれば一生の...いや、怪我をする。金閣寺の池に...、嵐山の渡月橋からーいやどれもこれも人騒がせするだけだ、
一生の想い出~ウーン、そうだ~!。
「お母さん、五山の送り火を知っていますか?」
「はい、大文字焼のことですね」
「そうです、それを何で知りました」
「いつも、お盆にNHKのテレビで...主人が亡くなってからはいつもテレビに大文字が映ると息子と二人で手を合わしています」
「それなら丁度良い、どうです、大文字山に登りませんか?」
「え、山ですか?」
「いえ、山といってもほんの三十分ほど歩けば大の字の火床に行けます。そこからは京都が一望出来て素晴らしいです。それにここなら年に一度は必ずNHKの九時のニュースで放送されます。東京と岡山と同時にです、離れていても一生の想い出になります」
それまで黙っていた息子が始めて口を開いて、
「お母さん、そうしょう。金閣寺や清水寺は俺が学校を卒業して就職したら必ず連れってやるから、今日は運転手さんの言う通りに...」
どんな小さな山でも山は山。曲がりくねった坂道は自然に親子の手を固く結ばせ、息子は照れもせず母親の額の汗を拭いていた。
★~大文字山は銀閣寺の裏山にあり門前を北へ一本道になっています。大文字の火床までは約30分で行けます。途中にはこの山が大昔地中にあった証拠としての「貝の堆積」の地層があります。京都の人はこの大文字の火床に残った黒い灰を持ち帰り「家内安全」のお守りにしています。尚、小さな山でも山ですから火床から奥へは絶対に行かないでください...遭難の恐れもあるからです。
★~銀閣寺からは哲学の道~法然院~永観堂~南禅寺~と歩くコースになっています。健脚の方は、さらに平安神宮~知恩院~円山公園~八坂神社~高台寺~清水寺~三十三間堂~JR京都駅。このコースは先に市バス(220円)タクシー(JR京都駅から約2000円)に乗って銀閣寺に行くほうが便利で復路もししんどくなったり時間がななくなれば即タクシー、市バスに乗れます。
★~身障者手帳をお持ちの方は全国共通ですから忘れないように!この手帳を明示すればタクシーは10%割引、各観光寺院にも本人無料、介添え者割引等々のサービスもありますが、これは拝観料の券を買う窓口には不親切にも書いてありません。いずれ私がこの問題をこのブログ等で改善いたします。
独居老人のコラム・京都ラーメン物語…1話 「ラーメン横綱」…「たかばしのラーメン」・小説「麺なし、肉なしラーメンの秘密」
おかげさまで、この「伏見稲荷大社の物語」が大ヒット中で連日100ほどのアクセスで読まれています。さらに100話まで書く予定です。