13歳女子、左右上下顎7番すれ違い咬合。
よくある症例なんだが、一般の歯医者はスルーする。
なぜなら歯医者でも矯正治療を手がけている人は少ない。
こんな部分矯正でも学校では習わないのだ。
というか学部学生の矯正実習というのは臨床実習ではなく、タイポドントという咬合器上で行うシミュレーションだ。
他の分野も同じなのだが、ま、体験学習ということだ。学部卒だけでは全く使いものにならない。
そこで学部卒業後に大学院進学、医局に残る、矯正専門病院に勤務することで臨床経験を積むことになるが、とても人気がある分野なので、定員の空きがないのが実情だ。
今日はブラケット2本で治すという究極の最安治療法だ。この子は母子家庭なので大きなお金は出せない。
しかし放置はできない。すれ違っている大臼歯は咀嚼機能が落ちるので、その他の歯に負担をかけてしまう。この子の30年後を考えるとどうしても改善してあげたい。
かなりアクロバテックな方法なのだが、低コストなだけではなく、所用期間も短い。
ただ正常咬合になった時にこの歯だけ咬合高径が高くなるので、沈下するまでが苦しい。
上下7番にフック付きのブラケットを装着し、顎間ゴムで引っ張る。ゴムは1/4"を使ってみた。
もしかしたら僕のオリジナルなのかもしれないが、ちゃんと治る。他所で見かけないのは安すぎて儲からないからだと思う。これも業界の不都合な真実というものだろう。
では今日は右側だけだけれど、咬合させている画像をどうぞ