カテゴリ:虫歯の電気化学説
8歳女子、左下6、Fluoride bomb
フッ素爆発だかフッ化物爆弾とでも訳すのだろうか? フッ素を塗るとエナメル質の最表面は硬くなって虫歯になりにくいが、その下の象牙質は虫歯になるという説明をしているが、ま、違うだろう。 単なる虫歯だ。 そもそも硬いから酸に溶けにくいので虫歯になりにくいという説明は理論的に間違っている。硬いというのと溶けにくいというのは物理化学的には別のカテゴリーの問題だ。 歯科の論文を読んでいるとこれらが混同されている。読む価値のない論文というのはすぐに判る。フッ素に関しては全部だが。 この虫歯の発症原因はエナメル質の発生学的な問題に起因する。象牙芽細胞群とその上のエナメル芽細胞群の塊がそれぞれ象牙質とエナメル質を作りながら膨張していくが、隣接する細胞群の接合部分でエナメル質が押し合ってエナメル質の成長が阻害され、エナメル質がないもしくは少ない部分ができる。これは窩と呼ばれる。 この窩の部分は深い穴の底で象牙質がむき出しになっているので象牙質だけが溶け出す虫歯になる。 なぜ象牙質だけが溶けるのかというとイオン化傾向がエナメル質より象牙質の方が大きいからだ。 これを異種金属接触腐食という。 一般にはあまり知られていないが、これまで歯牙には電子は流れないので電気的抵抗は高く電気化学的腐食とは関係ないとされてきたようだが、水素イオン(H+:プロトン)を伝導するということが分かっている。歯牙(ハイドロキシアパタイト)はイオン伝導性セラミックスというカテゴリーに属する物質で金属と同じように取り扱うことができるということだ。今脚光を浴びている個体電池という技術もこれだ。 このことが知られると歯科医学の根底が覆る。真の虫歯の予防法が分かる。金属の腐食防止と同じ考えが応用できるし、フッ素が虫歯を予防できるというのも非常に限定的だということも分かる。高濃度のフッ素で歯が溶けるという現象はハロゲン族が金属腐食性を持つのと同じ現象だ。 この症例もそうだが、エナメル質の虫歯は限局的だが、内部の象牙質は大きく失われている。 虫歯は金属の腐食と同じカテゴリーの現象なので、イオン伝導が遮断できれば虫歯の進行は止まる。虫歯は細菌感染症ではないので虫歯を取り残しても問題ない。 α-TCP(ハイドロキシアパタイト)で再硬化するからだ。 もちろん厳密な辺縁封鎖性が求められる。漏洩した途端に虫歯が進行し始めると考えても良い。厳密にはα-TCPの方がイオン化傾向が歯質より大きいので身代わりに溶けてくれるので虫歯の進行は遅くなる。これはカソード防食と呼ばれる。 現状では辺縁漏洩が最も少ないのは吟味されたCRのボンディングシステムだけだ。型取りして技工作業の後セメントで装着する類の修復物は辺縁漏洩の観点から言えば、全く話にならない。 α-TCPを使っても100%失敗する。 では時系列でどうぞ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021/08/14 11:36:07 AM
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