50代女性、左下7、歯牙破折
硬いカリントウを食べたら歯が折れた。
この方も咬合性外傷の持ち主で、以前から咬合痛や冷水痛を訴えられておられた。この歯も外傷性の歯髄炎で神経の治療をしている。外傷性の歯髄炎とは歯髄梗塞によるものだ。外傷力によって生じた血栓が歯髄塞栓症を起こし、歯髄が炎症、壊死する。この機序はまだ誰も言い出していない。ここだけのものだ。
破折した歯冠には補強冠を装着しているが、間に合わなっかったようだ。応力は歯茎部に集中するので、フルクラウンにしてもあまり変わらないと思う。むしろポストコアにすると縦に割れてしまいより厄介なことになる。
破折した歯牙を見ると、少し前からクラックから虫歯になり始めていたようだ(楕円部分)。
疲労は蓄積する。
歯根は残根化しており、歯肉が被ってきていたので電気メスで除去した。
歯根面にもクラックは見られ(矢印)、さらに破折する可能性がある。CRでの補強効果に期待するしかない。
CRコアはピンレッジド・ラウンドコアにして咬合力が歯の中心部に向かうように配慮した。こうするのが圧縮応力に強い歯牙には最適なコア形状だ。