10歳男子、右下21、左下1、外傷性歯牙脱臼
とてもかわいそうな症例なので、先にアップしておこうかと思う。
裏山でおもちゃのバイク?遊びをしていて、転んだところがちょうど石の上だったので、下顎の前歯が3本抜けた。
外傷性歯牙脱臼の処置は、牛乳などに浸け込んで歯科医院に駆け込むことではない。
その場で元に戻せば良い。水道水でさっと洗って戻せば良い。水道水の塩素で消毒が期待出来る。
それができなければ、口に含んで歯医者に行けば良い。
これだけだ。意外だろうが、歯科医師ですら知らない。
その後歯科医院に行けば、抗生剤投与、歯牙固定をしてくれるはずだ。後は経過観察。
慌てたお母さんは1本拾えたので、地域の中核医療機関の口腔外科に飛び込んだが、あいにく日曜日で担当医は不在。そこでは対処できないとかで休日歯科診療をやっている近くの施設に行ってくれと言われて行ったが、対応してくれなかった。
次の日、もう1本探して、卵白に浸けて先の口腔外科に行ったが、再植はできないと言われて、1ヶ月後に入れ歯を作ってくれるようにうちに依頼があった。
日曜日なので、救急外来に行くことしか頭になかったそうだ。
うちに来れば、全部再植できたかもしれないのに、かわいそう。。
僕の携帯番号もメアドも待合室に、登録するように掲示してあるのだが。
この先、インプラントか、それも無理なら一生入れ歯だ。
お母さん大後悔。。
その日の内なら、神経も生着する。翌日でも神経は無理だが、生着率は30%。残り30%はアンキローシスと言ってインプラント状態になる。残りが排徐または歯根吸収となる。
再植に慣れていないと、いざとなったら何もできないのよね。。世の中そんなもんだ。
仕方がないので、入れ歯を作った。
入れ歯と言っても10歳では顎骨も成長するし、乳歯は萌え代わる。
そこで拡大矯正装置に人工歯を入れて、成長に対応するように配慮した。
クラスプは上下の歯の隙間に通して、咬合の邪魔にならないようにする。このクラスプは僕のオリジナルなので、名前はまだない。
これがセット時の口腔内写真