50代男性、右下7、Per(神経の治療中に根管内が細菌感染した)、咬合性外傷、水平埋伏智歯
この数週間グラグラで痛くて噛めなくなって、かかりつけの歯医者さんに行ったら抜歯を宣告された。
ま、当然です。完全なホープレス。周囲の歯槽骨が完全に失われているだけではない。
埋もれている親知らずが遠心根に接触している。
この接触している部分は元々歯槽骨がないので、Perや咬合性外傷があると一挙に抜けてしまう可能性が高い。
抜歯・再植をするにしても親知らずが埋もれていると、その周囲は歯槽骨が再生しないので予後不良だ。
経験的には生着率10%以下だ。
それでもいいとおっしゃるので、やってみた。
奇跡は起こるかもしれないのだ。
水平埋伏智歯の抜歯と再植を同時に行えば、生着率はもう少し上がるが、僕にはその体力がない。
どう考えても「今日の諦めよっかな〜シリーズ」のカテゴリー入り。
以下、レントゲン写真のbefore/after 。
これが保存可能だと思う歯科医師は世界中探してもいないだろう。
before
after
抜歯してみたが、ピンセットで簡単に抜けた。
しかも遠心根は破折していて、非常に薄く割れたパーツは探しても見つからなかった。
もし生着しなかったら、遠心根は諦めて近心根だけでも助けるつもりだ。親知らずは矯正的に引き起こすことができれば理想だが。
では抜歯過程と親知らずの様子を見て欲しい。大体の形を描いてみた。