40代女性、左上6、遠心辺縁隆線破折
デンタルフロスが引っかかるとか、時々痛いという症状。この方は歯ぎしりをしているので、歯に過大な応力がかかり、特に隣接面にはクラックができやすい。そこから虫歯になるという典型的な応力腐食割れと通気差腐食が起こるタイプのものだ。
工学的には歯(ハイドロキシアパタイト結晶)は水素イオン伝導性セラミックスという今話題のEV用の個体電池の電極に使用される物質と同じカテゴリーの物質だ。
実は現在の歯科医学では虫歯の原因はまだ解っていない。
よく言われるように虫歯は歯が酸に溶けたものだということではなくて、歯の内外の起電力差により水素イオンが歯を通り抜ける際にハイドロキシアパタイト結晶中のカルシウムから電子を奪うことによるハイドロキシアパタイト結晶の崩壊による金属の錆びと同じ電気化学的な現象だ。
両隣接歯の辺縁隆線にクラックがあり、右の6番の方はすでに離断遊離している。
隣接部の拡大画像
離断した辺縁隆線を除去した
内部は通気差腐食による広範囲な虫歯になっている
虫歯は除去して
奥側の7番にも同じような隣接面カリエスがあるがこの処置は次の機会に予定している。
3MIX+α-TCPでカバーして
CRで修復し
歯ぎしりという外傷性咬合に対応するために補強冠を装着する予定。