12歳男子、左下6、咬合面カリエス
象牙質
だけが溶ける咬合面の虫歯は急速進行型が多いので、エナメル質のみを強化するフッ素塗布を原因とする虫歯と言われることがあるが、違うと思う。
単なるエナメル質と象牙質のイオン化傾向の違いによる虫歯というのが最も説得力があると思う。
エナメル質よりも象牙質の方が僅かながらイオン化傾向が大きい。
また、ある程度虫歯が進行すると、虫歯内部の酸素濃度が低下するので、酸素濃度差腐食が進行する。
2段階の電気化学的な腐食の機序が働く。
スプーンエキスカベータがとても深いところまで入るのに驚かれると思う。この場合、虫歯を全部取ると露髄する。
通常治療基準では軟化象牙質(虫歯)は全部除去しないと再発するとされているが、そんなことはない。十分な電気的な絶縁ができれば虫歯は進行しない。具体的には水素イオンの伝導を遮断できれが大丈夫だ。
しかし、修復物がCR+ボンディングシステムに限られる。十分な接着性を得るために健全歯質はマージン付近だけはしっかり確保されなければならない。
一方、インレー、クラウン+セメント合着では早期の辺縁漏洩があり、どうしても虫歯は再発する。これは製作過程がノンアンダーカットのシステムだからだが、これこそが修復物としての致命的な欠陥となる。
この辺りのメカニズムは現代歯科医学ではまだ知られていない。ここだけの理論だ。
α-TCPセメントで軟化象牙質(虫歯)は再硬化する。