前回のつづきというか、今回も象牙質だけが虫歯になる症例だ。
60代男性、左上7、咬合面カリエス、自発痛+
この手の症例は若い子に多いのだが、必ずしもそうではない。
発症点は窩(か)と呼ばれる窪みで、発生学的にはエナメル芽細胞の塊が押し合ってできる深い溝または袋状の窪みで、酸素濃度が低くなりやすく、酸素濃度差腐食が起こりやすい。
ここで提唱している「虫歯の電気化学説的」には、この発生学的な(もしくは解剖学的な)窪みの酸素濃度勾配が発症の起点になる。
痛みが出ていたが、我慢していたというので、通常なら神経を取るということになるのだが、レントゲンを撮って見てみた。
ま、ふつうはそうなるよね。。でも、うちは神経は取らないけれどね。。3MIX+α-TCPなら大概大丈夫だけどね。。どうですかね?
今回の処置に入る前に、参考までに2017と2018の画像があったので、アップしておきます。この時点でも内部が黒くなっていますので、嫌気性の硫酸塩還元細菌が生息できる環境(あな)はあったということが分かる。
その後数年のブランクがあって痛くなって来院されたのだが、何が起こったのだろうか?
電気化学説的に考察してみると、ある時点で嫌気的環境が好気的環境に変わったことが考えられる。
それが何かは歯を見ただけでは分からなかったが、色々あったと伺った。火事でお母さんが亡くなったとか、妻も病気で亡くなったとか、今は新築の家に一人で住んでいるとか。
ストレスで間欠的に歯を食いしばり、その時歯もたわむので、スポイトの様に虫歯の穴に酸素を送り込むような状態になり、好気性または通性嫌気性の酸産生菌が優勢になり、齲窩(虫歯の穴)の内部が酸性環境になり、一挙に虫歯が進んだと。
2017/12/09
2018/03/03
ここからが今回