カテゴリ:虫歯の電気化学説
9歳男子、左下6、近心隣接面/頬側面カリエス
実は、虫歯の成因はよく分かっていない。歯医者もよく分からないが、放置していても一人でには治らないので、削って埋めようか。。と思うだけだ。 しかし、ここで提唱している「虫歯の電気化学説」によればかなり正確にその成因を分析することができ、今後どうなるのか?という予測もできる。 虫歯とは歯を構成しているハイドロキシアパタイト:HAの電気化学的腐食であり、その前提として以下のことが挙げられる。 1、HAは電子の伝導性はないが、水素イオン(H+:プロトン)の伝導性がある。 2、イオン化傾向を計ることができる。 よって、HAは一般の金属の腐食と同じように扱うことができるが、荷電粒子が電子とプロトンの違いがあるので、半導体の電子とホールの違いのような取り扱いが必要になる。 もう少し分かり易い端的な表現をするとすれば、 1、プロトンが多い環境すなわち酸性環境であること。 2、HAの内外に起電力の存在があること。 虫歯の成因はこの2つに集約することができる。 代表的な金属の電気化学的な腐食に、 例えば 1、異種金属接触腐食 2、酸素濃度差腐食 があるが、虫歯の成因もこのどちらか、もしくはこれらが複合していると考えても良い。 この子の場合は、やはり上記の2つが複合していると考えられる。 この子の家族はテニス一家でこの子もテニスをしている。一般にスポーツは歯を痛めることが多いが、テニスなどの一瞬のインパクトが必要な競技は非常に強い力で食いしばる所為か虫歯になりやすい。食いしばって、歯にクラック(ヒビ)が入りそこから酸素濃度差腐食が始まる。それが近心隣接面の虫歯だ。その部分の拡大画像を見てみると白い筋状のクラックが見えると思う。 頬側の溝から始まっている虫歯は外傷性咬合とは必ずしも関係があるとは言えないが、増悪因子にはなり得る。一番大きな成因は象牙質とエナメル質間のイオン化傾向の差による異種金属接触腐食だ。 では時系列で見ていこう。 拡大画像 クラック部分は削除している 3MIX+α-TCPの貼付は頬側の象牙質の深部カリエスだけだ。近心は幸い象牙質には達していなかった。 CRで修復 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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