カテゴリ:今日の抜歯再植術シリーズ
60代男性、右下6、近心根破折、不快症状あり
この記事を読む50代以下のまだ自分は若い健康だと思っている方は自分には関係ないと思うだろうが、しかし60代に入ると急に身体は動かなくなるし、一挙にがたがくる。 通常は破折した歯根は抜いて何らかの補綴物(ブリッジ、義歯、インプラント)を入れるのだろうが、 このところ自他共に高齢化が進み激増している患者に対応が難しくなってきている。 抜いて従来型の補綴物を入れるというのはかなり大変な作業量なので、それをこなす時間も気力も体力もない。 というか患者をさばききれない。 補綴物を外注するのも通常治療と違い過ぎていてできない。誰も受注してくれないのだ。できたとして1週間待ちだ。受注先の歯科技工士も高齢化の波から逃れることはできない。だからCAD/CAM、3Dプリンターなのだ。 しかし高価な機械は導入できないし、そもそも保険診療ではペイしない。保険診療報酬から製作費を引くとほとんど残らない。そういう設定になっている。国の政策なのだろう。自費設定にして削りまくらないとペイしない、だから自分で作るしかない。 どのような症例でも1、2回で終わらないと急増する患者に対応できないし、こちらの体力の限界も見えてきた。 だから再植で延命している。 患者の希望もなるべく抜いて欲しくはない。それはそうだろう。 抜くということはこの歯1本で済むはずはない。次々とクシの歯が抜けていくように、じわじわと咬合崩壊していく。 しかし、世の中の流れはそうではない。さっさと全部抜いて総入れ歯にして要介護状態に備えるという方向に流れている。 それも急速にだ。 少子高齢化とは患者は激増するが人手は足りず、あらゆるサービスはしたくてもできないということだ。 大都市ではまだそうではないだろうが、地方では現実問題になってきている。病院はパンクしかかっている。大都市でも時間差でそうなる。 もしかしたら再植やCR再建、PMTCなどの延命治療はトータルではリソース(人的、天然資源・エネルギー的)の節減になるのかもしれない。少なくとも僕自身にとってはそうだ。 レントゲン写真 before ![]() after ![]() 最初に症状が出た時に一回で終わる根管治療をしているが、すでに破折していたのだろう。 ![]() 後ろ半分は抜くつもりはなかったのでカットした。 ![]() 歯根面はぐちゃぐちゃになっている ![]() 抜歯時に遠心のCKも脱離した ![]() 綺麗にする前 ![]() した後 ![]() 既成の金属ポストを使うが、金属ポストは絶滅しかかっている。ファイバーポストは歯の寿命を短くする。たわみが大きすぎるので抜けやすい。 ![]() スーパーボンドとCRで再建する ![]() ![]() ![]() 遠心根はスーパーボンドで仮封しておく ![]() 再建した歯根を洗浄しておいた抜歯窩に挿入 ![]() ![]() 最後は指で押し込む ![]() ![]() ![]() ![]() 固定して治癒を待つ ![]() 投薬3〜4日、包帯は4〜7日後に除去する ![]() 1〜3ヶ月経過後に歯冠修復するが、口腔内でCRで歯冠再建できれば最短2回で完了する。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/05/26 04:02:57 PM
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