こんにちは。
総合政策部政策局総合教育推進室です。
若者の海外留学を官民挙げて支援する「ほっかいどう未来チャレンジ基金」により留学中の田中さんから、4月の活動の様子が届きました。
楽しむラグビーを道内で浸透させることを目指す田中さんは、ラグビーの本場ニュージーランドで指導者、選手双方の立場から研修に参加して、指導技術を学んでいます。
ほっかいどう未来チャレンジ基金HP
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/sky/mirai-jinzai.htm
ほっかいどう未来チャレンジ基金Facebook
https://www.facebook.com/mirachalle/
研修が始まり二ヶ月がたちました。こちらは少しずつ冬に向けて寒くなっております。今回の報告では、インターナショナルラグビープログラム(IRP)が3月25日から開始したのでその様子についてご報告したいと思います。
初日の25日は日本人男女高校生、海外からの高校留学生含め計17名でスタートしました。インターンは私を含めた3人で6ヶ月間担当します。今回のプログラムには、選手兼指導者研修生として参加いたします。
特に意識して学びたいと考えているのは選手のモチベーションコントロール方法、トレーニング内容のプログラミング方法、そしてストレングス強化方法です。今月は選手のモチベーションコントロール方法について注目してご報告いたします。
この二ヶ月で色々なチームの練習に実際に参加させていただきました。IRPプログラムの拠点であるセントビーズカレッジの一軍やU13の練習、自身が所属するカンタベリー大学の練習、更にはプログラムに参加する女子高校生選手たちが所属する高校生チームの練習。各チームレベルは異なりますが、まず共通して大きく感じたのはコーチと選手との距離感です。どのチームの指導者も選手との信頼関係を確立しているように感じられました。
現地での練習を見ていると、練習時間は長くても90分以内。指導者が選手のプレー中のミスに対して大きな声で怒鳴るようなシーンや、指導者が一方的に指導し長い時間同じドリルに取り組んでいるシーンなどというのは全く見られない点が一つ印象的でした。
基本的な練習の流れですが、まず各ドリルを10分程度行いますが、2〜3分ほど進めたところで一旦で区切り、選手たちを集合させ意識するべきポイントを、指導者から選手たちに”質問形式”で確認します。キーポイントを認識させた上でまたドリルに戻る、この繰り返しです。
早いテンポで練習を進めていくため、選手たちも短い時間の中で集中力高く取り組むことができます。このように選手たちに質問をし、考える時間を与え、選手たちの考えを受け取るといった指導者と選手とのキャッチボールを繰り返し行うことで、選手たちにキーポイントをより明確に認識、意識させることができます。
実際に選手としても練習に参加していますが、意識すべき点を指導者から伝えられ休みなくとにかく正確さだけを求め数をこなすよりも、都度要点を確認し合い意識して取り組むことで、短時間で効率よく質の高い練習を行うことができると感じました。また、練習後には必ず何が上手く出来たか、出来なかったか、何を学んだかについて、チーム内でフィードバックを行い共有します。フィードバックを行うことにより、選手たちの得意なプレーや課題が明確になり、また選手の自信へとつながります。
質問形式で練習の意図を確認したりフィードバックを行い、考えていることを他の選手たちの前で実際に発言することは、ラグビーのスキルだけでなく、人として成長する上での積極性や自立性の向上を図るのには、とても良いトレーニングになります。ニュージーランドの選手たちは常に集中力の高い選手が多いと感じますが、選手たちの練習中のモチベーションを高く保たせる指導者の”モチベーションコントロール”スキルがあるからこそだと強く感じました。
このように練習を進めていくことで、練習後には選手たちの中で達成感が生まれ、更には自信が生まれます。指導者→選手ではなく指導者⇄選手という関係性、一方的に教えるのではなく考える時間を与え”気づかせる”という指導があるからこそニュージーランドラグビーは常に成長し続けているのだと強く感じた二ヶ月でした。帰国後に活かせるよう引き続き色々な視点からニュージーランドの指導法について学びを深めていきたいと思います。