こんにちは。
総合政策部政策局総合教育推進室です。
若者の海外留学を官民挙げて支援する
「ほっかいどう未来チャレンジ基金」
により留学中の立岩さん(北海道大学)から、5月の活動の様子が届きました。
立岩さんは農業大国オーストラリアの大学と農業研究機関に留学し、北海道で大規模農業を持続させる手法を学び、6月に帰国しました。
ほっかいどう未来チャレンジ基金HP
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/sky/mirai-jinzai.htm
ほっかいどう未来チャレンジ基金Facebook
https://www.facebook.com/mirachalle/
いつもお世話になっております。5月分の活動報告です。
5月をもってタスマニア大学での交換留学のほとんどが終了しました。残るは6月にある最終試験と課題を片付けるのみとなりました。
まず、先月の報告書の続きですが、ビニールハウスにて育てていたトマトの実験が終わりました。5月の初めにトマトの植物体を刈り取って重量を測ったところ、見た目にも表れていましたが、窒素とリンが不足しているトマトは他の3種類と比べ著しく低重量となりました。カリウムが不足していたトマトは質量的には問題なかったのですが、葉の外側が枯れてしまっており健康状態は良くなく、作物にとっての3大重要元素(窒素、リン、カリウム)が本当に重要であるということを実験を通して痛感しました。
さらにその後、リン、カリウム、カルシウムについて実験室で元素分析したところ、カルシウムにだけ数値的な不足が見られなかったので、もともとの土壌が十分な量のカルシウムを含んでいたことが分かりました。
また、授業では4月までは農業全般に対する理論的な内容が中心でしたが、5月に入りオーストラリアの農業のケーススタディーをいくつか取り扱いました。中でも私が印象に残ったのはオーストラリア農業が抱えている問題です。
オーストラリアは日本よりとても乾燥している国なので、水不足が問題になってきますが、その水不足を補うために大量の地下水を灌漑で使うので塩害も問題になってきます。塩害とは土壌中の塩分濃度が上がる現象で、地下水は基本的に塩分濃度が高めなので、地下水を使用し続けることで塩分が土壌中に蓄積してしまいます。
また、その土地に元来植わっていた木などを根こそぎ取り除き作物に転換すると、地下水が上昇し塩害の原因となります。水不足は水を投入できれば解決することができますが、一度その土地が塩害の影響を受けてしまうと元に戻すまでは何十年もかかると言われており、いまだに画期的な解決方法は見つかっていません。
日本は現在小麦のかなりの割合をオーストラリアから輸入していますが、このまま塩害が進みオーストラリアの耕作地が減っていき小麦が輸入できなくなった際にどう対処するか考える必要がありそうです。
その他、5月は日本社会について勉強する授業の中で最終課題としてテーマを一つ決め、それに関してのプレゼンとエッセイを書くということも行いました。私はもう一人のクラスメイトとタッグを組んで日本の「masculinities(男らしさ)」についての研究を行いました。
江戸時代中期~現代に至るまでのmasculinitiesの変容について調べたため、多くの論文を読みましたが、海外の学者の研究の突き詰め度合には大変感銘を受けました。私は日本では「文系」の科目は取ったことがなかったので、社会的なことを学術的に勉強する機会はあまりなかったのですが、物事に対しての考え方を変える大きなきっかけになりました。また、論理的な文章を書くための良い訓練にもなったと思います。理系学生は理系科目を勉強することが重要視されている日本でも、文系科目を勉強する機会を持てたら良いのに、と思います。
6月は試験があり大変ですが、留学終了がすぐそこまで見えているので、後悔しないようにやり抜こうと思います。また、タスマニアでお世話になった方たちへの感謝の気持ちを忘れずに日本へ戻ります。