小池百合子の学歴詐称疑惑 #3 エジプトのエージェント?
浅川芳裕(あさかわ・よしひろ) 1974年、山口県生まれ。エジプト・カイロ大学文学部セム語専科中退。ソニー中東市場専門官、「農業経営者」副編集長を経て独立。ジャーナリスト、農業アドバイザー。著書は「日本は世界5位の農業大国」「“闘争と平和”の混沌 カイロ大学」など多数。 「小池都知事はエジプトのエージェント同然」カイロ大の体質を知り尽くすジャーナリストが看破からです。──カイロ大が大使館を通じて声明を公表し、メディアに圧力をかけるなど普通では考えづらい。そんなリスクをカイロ大が冒すものでしょうか。 カイロ大というのは、一般的な国公立大でもなければ、私立大でもない。エジプト軍事政権が直接、管理運営する国家機関です。学長のみならず、学部長でさえ大統領に任免権がある。カイロ大をおとしめる報道はエジプト国家そのものへの攻撃と同じです。政府による外国メディアへの圧力などエジプトでは日常茶飯事で、不思議なことではありません。カイロ大声明発表直後、政権寄りのエジプトメディアは「カイロ大、危機に瀕する都知事を救うために介入」「カイロ大、都知事の卒業証書を認めない日本メディアに対し法的措置で脅迫」などと報じたほどです。* 東京大学のようなものかと思ったら、同じ大学でも統治機構の一部でずいぶん性格が異なるようです。 ──小池知事を相当大事にしているのですね。その理由を一言でいえば、小池氏がエジプト政府のエージェント同然の存在だからです。カイロ大は、そうしたエージェントを養成する機関でもある。もちろん、小池氏だけに限ったことではありませんが。小池氏は「亡命枠」ではなく、ナセル側近で情報相を務めたムハンマド・アブデル・カーデル・ハーテムの「特別枠」でした。エジプトの国策に都合のいいエージェントを育成するため、非アラブ国出身者を優遇する枠です。──ハーテムといえば、留学生時代の小池知事の後ろ盾だったとされる人物です。「女帝」によると、小池知事は同居人に「お父さんが、ドクター・ハーテムにカイロ大学に入れるように頼んでくれている」などと話していました。ハーテム枠はさらにインテリジェンス枠とインフォメーション枠に分かれています。インテリジェンスというのは、他国で諜報活動を行って世論を操作し、親エジプト国家を形成したり、敵国を不利な状況に陥らせること。インフォメーションは、いわゆる戦略広報です。例えば73年の第4次中東戦争で、エジプトはイスラエル軍の不意を突いた奇襲攻撃を仕掛けましたが、その大義を世界に知らしめなければ意味がない。情報(インフォメーション)相ハーテムは欧米のマスコミをメディアツアーの名目で戦地候補地に事前招待し、現場で情報操作しながら報じさせたのです。アラブ世界の「プロパガンダの父」と呼ばれています。──小池知事はインフォメーション枠だったわけですね。具体的にどんな役割なのでしょう。ひとつは、カイロ大の偉大さを証明することです。カイロ大の卒業生でノーベル賞をとった人物が3人いますが、全員エジプト人です。海外で首脳に就任した人もいますが、やはりアラブ人。カイロ大を卒業した先進国の要人は小池知事1人しかいません。公式ホームページでも「カイロ大は日本の元防衛大臣である小池都知事の輩出に成功」と記すように、カイロ大を宣伝するための極めて重要な存在なのです。 もうひとつ、重大な役目があります。日本政府から援助を引き出すための窓口となることです。興味深い報道があります。16年3月にエジプト政府系のアハラーム紙が報じた記事によると、来日した当時のシシ大統領は、日本エジプト友好議連会長だった小池氏と面会。大統領は「謝意を表した」とされている。一体、何に対して謝意を表したのか。記事では「大統領の訪日では、教育プログラムに関連して多くの目標を達成した」と紹介されている。実は、この報道の約1カ月前、三百数十億円に上る日本のODA(政府開発援助)による教育支援策「エジプト・日本教育パートナーシップ」が発表されています。つまり、シシ大統領はODAという形で援助が実現したことについて、小池氏に謝意を表したわけです。 アハラーム報道から約1年さかのぼった15年5月、現地メディアのアルマスダル紙電子版によると、エジプト大統領府で小池氏と面会したシシ大統領は「教育分野において日本の経験から利益を得ることについて、関心を示した」とされる。大統領の関心に対し、小池氏は「エジプトと日本の関係を強化する努力を惜しまない」と後押しを表明。さらに小池氏は「私がエジプトを大切に思っているのは、公式のレベルだけでなく、個人のレベルのことである」とまで語っている。小池氏が教育支援ODAの端緒を開いた可能性が高いとみています。* インフォメーション枠で入学した小池百合子は、カイロ大=エジプトの偉大さの宣伝と日本からの援助を引き出す戦略広報要因なのです。■三百数十億円のODAに「謝意」 ──まさに、エージェントのような立ち回りですね。アハラーム紙の記事を担当した記者のコラムがまた興味深い。以前、記者が取材した際に小池氏が語っていた内容を紹介。小池氏は、ナセル大統領が外国人学生に対して奨学金を提供するという重要な政策を採用していたと評価。彼女自身もエジプト政府から月額数千円程度の支援を受け取っていたことを明かした上で、「ナセルの(私への)投資は有益で成功だったでしょ。だって、そうじゃない!」と発言したというのです。教育支援ODAの実現を誇るような話しぶりで、まさにエージェントと言うしかありません。18年にはエジプト軍部諜報系テレビ局の取材に「私は100%エジプト人」と話したほどです。* やれやれですね。 他にも、「エジプト人留学生・研修生」受け入れ事業で、総額101億9,200万円というのもあります。問題の学歴詐称疑惑については、このように記しています。私が90年代にカイロ大に通っていた経験から言って、小池氏のアラビア語は卒業できるレベルではありません。カイロ大は小池氏について、“超法規的卒業”という扱いにしたのだとみています。 ──超法規的とはどういう意味ですか。カイロ大は、編入学については法律で大統領権限に基づく特別枠が存在しますので、コネでも“法規的”に入れます。しかし、卒業に関しては法律で明記されていない。当たり前ですが、権力者の口利きによる卒業=学位授与を公認すれば、大学の信用は無になるからです。しかし、その法を超えた卒業枠があるのはエジプトでは公然の事実です。小池氏も同じケースの可能性があります。 ──小池知事は弱みを握られている状態ですね。今後、どんな条件を引き出されることになるのか。外国政府に都知事の生殺与奪の権を握られた状況というのは、極めて危険なことだと思います。* この辺の事情を知っている舛添も、外国に弱みを握られている小池は国のトップにふさわしくないと指摘しています。 当然ですね。浅川芳裕は、前回の時もこの件について積極的に記しています。アーカイブ記事です。エジプト軍閥の“子飼い”小池百合子の運命①「カイロ大学声明」を出した組織の正体(アーカイブ記事) | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp) エジプト軍閥の“子飼い”小池百合子の運命② 「私は100%エジプト人なの」(特別寄稿) | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp) エジプト軍閥の“子飼い”小池百合子の運命③ エジプトへの個人的な見返り、日本人の血税300億円(特別寄稿) | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp)