そういえばこれまで一度として鴨宮で呑んだことがなかったな。神奈川にお住まいの方なら断るまでもないことですが、知らない方のためにフォローしておくと東京から東海道本線に乗り込んではるばる揺られて小田原駅の一駅手前の駅が鴨宮駅になります。日中歩いたことは何度かありますが、特にこれといった見所もなく、町並みも商店は少なくえきをおりるとすぐに住宅街があるという郊外にはありがちな町となっています。特に隣駅が中都市レベルの規模の町が控えている場合は、こうしたそっけない町並みとなることが多いようで、それは詳述するまでもなくまあ当然の事態であるといえるでしょう。さて、とりあえず駅を出てみることにします。北側は山になっているので、あまり飲食店はなさそうです。必然的に海側に出てみることにするのですが、案外この思い込みが盲点だったりするのかな。駅を出るとすぐのロータリーに立つと右手に中華料理店、左手には何軒かの居酒屋があるようです。恐らくはこの数軒から店を選ばねばならぬようです。それにしても何処も新しくて味気のない店ばかりだなあと、迷うほどの店があるわけでもないのにしばし躊躇した挙句に黄色い大きな看板が目立つ料理店に入ってみることにしたのでした。
そのお店は、「源丸 本店」とあり、目の前を歩いていたお兄さんが独りで躊躇なく入ったので、独りでも気軽に入れるお店かと釣られるように入ったのです。ところがそのお兄さんは、集団の遅れてきた一員であったらしくここから早くも不穏な空気を感じたのです。店に入るとすぐに板張の広間がありますがここは避けたいなあ、奥にはカウンターも見えるのでそちらに通してほしいなあ、願いも虚しく広間に通されたわれわれはーいつものA氏でありますー感念したような情けない気分でメニューを開きます。モツ鍋にもつ焼が得意分野のようです。シロコロ風のホルモンが大人気、テッポウが名物とかそんなことが書かれていたので注文します。どっちがどっちか忘れましたが、確かホルモンだかは三種の味付けから選ぶようになっていたのだけれど味噌で頼もうとしても全く埒が明かない、テッポウは選択肢がないのにタレで良いかと言われ全く訳が分からないし、出されたものもオーダーと違っていたような。まあ味付けはさほど拘らぬからいいのだけど、聞いておいてそれはないよな。訳が分からん。ネギのサラダを箸休めにオーダー。これは小ネギのぶつ切りに塩、ゴマ油、ゴマにうま味調味料か、これは自作すれば、ってそれを言っちゃいけないか。酒は面倒なのでホッピーにしておきます。これがすごいサイズのジョッキで出されるのです。が量はショボくてホッピーのひと瓶を空けたところでしみったれて見えそう。ところで焼き物でありますが、これは好みということになるのであくまで個人的な感想になるのですが、とにかく圧力鍋なんかで蒸されているのか、やたらにトロトロになっていてきっと余分な脂は落ちているんだろうけど、全体が脂の塊みたく感じられて食べきるのに難儀しました。神奈川西部、厚木とかのもつ焼はこんな感じならちょっと辛い。何だかんだとぐったりしたので早々に店を出ることにします。思いの外値段が張るのはひじきのお通し代が原因だな。後でA氏が語るには、ハイッピーの中を追加したらなぜか生ビールが出されて、交換してもらったところ、返事のまるで聞こえぬ店のお兄さんがひたすら睨みつけていたとのこと。災難だったね。