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カテゴリ:神奈川県
さすがに真っ昼間からやってる酒場はそうは見つかりませんが、鎌倉の方に行くと前々から行きたいたいと悲願していた角打ちなんかもあるし、京急のバスに揺られて三浦半島をじわじわと横断を試みるのでした。途中寄り道をしながら昼前には逗子駅前に到着していました。ここに喫茶店のようなユーモラスな内装の食堂があって、以前から目を付けていたのだけれどようやくお邪魔する機会を得ることができました。駅のゴチャゴチャした交差点を渡り屋根の付いた商店街の入口にそのお店はあります。
「仙満亭」は駅前食堂として長く現役で続けてこられたようで、店には経年による綻びも見て取れますがそこがこの逗子というさほど馴染みのない町にそぐわしく感じられるのです。さて、ワクワクして店内に入ると、なるほど黄色のソファにカフェ風のランプシェードという町の食堂らしからぬ風情があります。喫茶店というよりはチェーン展開される以前の黎明期のファミリーレストランといった趣きです。歩道を行き交う人々ともに店の全景を一望できる奥の席に着きます。近付くとソファなどの痛み具合はあからさまになり、老女を踏みつけにするかのような微かな痛みを覚えなくもない。おっ、ハイボールがあるなあ―ハイボールはあまり好きでないのですが、この町だと不思議と呑みたくなります―、すかさず注文します。そういえばサンマーメンというの食べたことないから、大体味の想像はできるけれど一度位は頼んでみても良いかな。背広姿のおぢさんがバタバタと席に着きます。こういう忙しい人たちを眺めながらののんびりとハイボールを呑むのは偉く贅沢に思えたのですが、その後入ってきたのは、小学生としばらくしておばあちゃんでした。どちらもぼくなんかよりぐっとくつろいでいらっしゃる。馴染みの店なんだろうけど、子供が独りでここに食事に来るとはなかなか渋い趣味でおられるようだ。やはり想像通りに普通においしいサンマーメンをすすりながら、この先のスケジュールなど忘れて居座ってしまいたい気分になりますが、気力を振り絞って次なる地に向かうのでした。 京急バスで名越に向かいます。持ち前の方向音痴を発揮して、迷い迷いしながらようやく目当ての喫茶店に辿り着き―その様子はまた来週―、海岸線を目指して進みます。目的地は「萬屋商店」です。トンネルの先には砂浜が広がっており、さほど多くはないけれど海水浴客の姿も見られます。夏の海ってこんなにさびしかったっけと砂浜を少しだけ散歩します。海の家にも人の気配は疎らです。再びトンネルをくぐって、引き返すと若いママさんたちが水着姿で幼い子たちを引き連れてゾロゾロ海の方に向かいます。昼を過ぎて暑くなってきたので、急遽海に来ることにしたのかもしれません。海の似合わぬぼくはいそいそと彼女たちの脇をすり抜けて、目と鼻の先にある木造の古い酒屋さんにお邪魔するのです。見事に古い店舗だなあ。店内は雑然とはしているけれど、片隅に安っぽい椅子なども置かれており、ちゃんと角打ち用のスペースがあるのは嬉しいことです。渇き物のツマミもそこそこ揃っています。奥の食卓で遅い昼食中のご夫婦ととぎれとぎれながらお喋りをしながら呑ませていただきます。残念ながら外を見ても海は見えないけれど、確かに香る潮のツンと来る感じが良い肴になります。トンネルをくぐるとその先はさっきより賑やかになっているのだろうけれど、この辺りは静寂に包まれており噴き出た汗がすっと洗い流されました。気持ちのいい夏の昼酒ができました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/11/06 08:30:08 AM
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