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カテゴリ:神奈川県
酒場篇が先行してしまいました。まあ日帰りの旅なのだからそれは当然のこと。朝方からそう呑み歩いては、せっかくの一日乗車券を無駄にしてしまう事になりかねません。券ももったいないけど休みを酔って終わらすのでは、時間だけはいくらでもあると思い込んでいる若者とリタイアしても特にやりたい事もなく朝昼晩の別すら気に掛けず、寝たい時に寝て起きていたければ何時までだって起きていられる明日が訪れる事など意に介さぬ老人と変わらないではないか。まあ、ぼくなどは若い頃は映画漬けの日々を送っていて昼夜関係なかった―そのくせ時間には厳格だったのは映画の時間割に縛られていたからに過ぎません―のだし、将来はといえば押して計るべしなのです。ぼくは人にはよく楽観的などと評されるが、将来を悲観しているからこその楽観的な生き方を選択しているという事がどうもあまり理解されていないようです。
そんな事はまあ置いておくとして、横須賀中央駅からは衣笠駅に向かう京急バスに乗り込んでいたのです。目星を付けておいた「軽食・喫茶 ストーン」は、予想通り手間はあるけれど痕跡すら見つけられませんでした。駅からすぐの暗くて細いトンネルというよりは穴倉の様な商店街の二階に「Cafe&Tea ハーバーライト」があります。ドンづまりのようですが、店の中に入ってみるとそこは思いがけずに広いスペースが待ち受けていました。ファミレスのような整然としたスペースです。なので喫茶店の意匠は纏っていてもどこか退屈なのです。いや、けして悪くないのが厄介なんだよなあ。ひたすら駄目ならいっそのことケチョンケチョンに書いてしまえば済むのだけれど、そうは出来ぬ余韻を保っていたのです。とよく分からぬ事を書きましたが、外観から想像したよりずっと広くて、そこらのファミレス程度には広々としています。そしてその広さこそがこのお店にわずかばかりのニュアンスをもたらすことに貢献しているようです。もしかするとコメダなんかのチェーン店の方がよほど喫茶店らしいのかもしれませんが、チェーン店には感じ得ない独特な緊張感が確かにここにはあります。他にお客さんは一人、そんなどこかピリピリとした空気感が少し刺激的なのです。 駅前には「手作りケーキ&サンドイッチ シバ」というのがあって、こちらにも小さな喫茶スペースがありますが、ご老人たちはめっきり店先に置かれたベンチで世間話をしています。 次に名越に向かうのには、乗り換えの必要があるのですが、急激に田舎びた風景のど真ん中で下車してみたもののバス停の案内には一日にそうはない同じ路線の時刻が記されているだけです。ここで待とうとも目的地には着けぬと盲滅法に歩いてみると5分は歩かぬ場所に確か同じ名の停留所があって、そこに調べを付けていたバスが滑り込んで来たのでした。バスに乗り込んでみて、以前もここを利用した事を思い出しましたが、それにしてもこれは不親切に過ぎはしないか。運良く乗り継げたから良いものの、この時ぼくはいくつかの無鉄砲で蛮勇というべき決断を下しているのです。案内の掲示程度は用意してもらいたい。 さて、そんなこんなでようやく目的のバス停に到着しました。その後も少し道に迷ったりした挙句に「喫茶 まさお」に辿り着けました。やっていない事を想定してやって来たので、思いがけず店に灯りがある事に驚かされます。ここの事はぼくなどとは比べようもなく喫茶店を愛するいつもの方のHPで知る事ができたのですが、失礼を承知で申し上げるとそこで見た写真よりずっといいのです。こればかりは実際に赴いて経験していただくしかない。そう、あらゆる事象に共通ですが、言葉や写真ではその本来の姿を伝えることは叶わぬのです。何物かに似せた物ですらないのかもしれない。できる事はこの拙文を読む事で実際のお店に足を運ぶ方を少しでも増やすために煽動するだけなのです。その言葉すら持ち合わせぬので、あえて直接的に言わせてもらいます。今すぐ「まさお」に駆け付けてください。残された時間はそう長くはないかもしれないから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/11/12 08:30:07 AM
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