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カテゴリ:神奈川県
さて、名越で予定にはなかった海辺の風景を眺められて、気分は少し高揚しています。昼間の酒が思いのほかに回っているのかもしれません。人混みを恐れてしまいどうも好きになれない鎌倉ですが、この日は普段より忌避する気分は少ないようです。平日の昼下がりで人手が少ないこともあります。この日はずっと彼岸にしていた角打ちに行きたいと思っています。ここは今回の小さな旅の大きな目的の一つでもあります。小町通りでない裏通りに近い扱いをされる何とか言う―こう書くこと自体が失礼なのだが―商店街の中ほどにそれはありました。
木造の立派な建物が「高崎屋本店」でした。確かにいい建物ではあるけれど、とこか思っていたのと違っています。その印象の違いを一言で語るとすれば健康的というか明朗に過ぎるのであります。酒場なんて人目を忍んでこっそりと通うべき場所であるはずで、こう開放的だと何かが違って感じられるのです。でもまあ角打ちスペースの入口は勝手口のような店の脇道の先にあるのだから、昼間から呑もうというやくざ者を疎外してはいるわけで、そんな末席で独り呑むのも悪くない。表通りを歩く外国人交じりの観光客に冷ややかな視線を浴びせられる心配もないので、心行くまで昼酒を愉しめるのは案外悪くはないし、正面から見るのと奥から表を見遣るのとでは、見える風景にも大きな差があります。インスタ映えではないけれど、少し位は見た目のユーモラスなものをと大仏ビールを頼んでみたけれど、やはりラベルよりは店内の風情が勝るように思われます。 追浜では、気になっている食堂が2軒ありました。食堂というからにはそれなりのボリュームを摂取せねばならず、いずれかに入れればよかろうという気持ちだったので、「そよ風食堂」なるスカしたネーミングとはかけ離れた外観を持つオンボロ食堂がやっていなくても、「中華 洋食 かし和」がやっていてさえいてくれれば文句はないのです。立てつけの悪い戸を開けると外観が想像させるそのままのいかにも古びた内観に惚れ惚れします。女将さんはテーブル席にどっしと腰を下ろし、常連の女性客と歓談中。オヤジさんが注文した親子丼をせっせと作ってくれています。ちらちらと、いや正面からまともにぼくの顔を眺め倒す女将さんに、つい顔に何か付いてるかしらとお尋ねしたところ、あんたのこと見たことあるのよね、いや間違いなく知ってるわ、××さんとこの息子さんでしょ、久しぶりねえ。いやいやまったくの初めてですよと何度言っても信じようとしない。ぼくには訳の分からぬ話で同意を求められたところで、お答えしようがないですよ。となかなか頑固な勘違い振りをなかなか引っ込めてくれないのがもどかしいのですが、憎めない方で政治・宗教もろもろについてかなり危険な発言を隠そうともしないのです。この憎めない人柄がなかったら今頃無事ではいられなかったのではなかろうか。役所での武勇伝なども楽しく聞かせていただき思わぬ長居をしてしまいましたが、大いに愉快でした。ただ、あまり役人の方たちを移ぢめないであげてくださいね。親子丼も普通に美味しかったなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/11/13 08:30:06 AM
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