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カテゴリ:葛飾区
世間では上野で呑むとなればといえばもっぱら上野駅と御徒町駅間のガード下の周辺部ということになるようで、確かにごちゃごちゃしてヤミ市的な気分を味わおうというなら楽しくなくもないけれど、人混みに酔ってしまう。それに比べると東上野の方は、日中でも人通りが疎らで歩きやすくて、ぼくのような田舎者でも気楽に足を向けることができるのです。そんな気楽さだけではなくて、この界隈にはまだ見過ごした何か素敵な場所がありそうな予感に満ちているのですね。その予感がどこからもたらされるのかは定かならぬところがあるけれど、そこらの雑居ビルの地下に思いがけぬ飲食街があったりするなどの不意打ちを食らいそうな気がするのです。お気に入りで暇つぶしにもよく遊ばしてもらっているGoogle Mapですが、これだってまだまだ不備が多いことは実地にて幾度となく経験しているのだから。と、いったことを書くと、Google Mapの取りこぼしのお店を見つけたのかと期待させてしまうかもしれませんが、これからお邪魔するのはそうした見えないお店などではなくて、地図上でも容易に見つけられるし、何度となく通過していながら無視してきたお店なのでした。
サッポロビールにやき鳥の看板、「やすくて旨い」のいくつになっても魅惑的な惹句の誘惑に抗えず、既に程よく酔っていてもつい誘いに乗ってしまうのでした。「虎の子」はそんなどこまでも有り触れたごく普通の居酒屋だったのです。ですけど、いつもの発言の繰り返しになりますが、こういう普通の居酒屋って今では少しも普通じゃないのですよね。外観からも長く愛されてきた事がしみじみと伝わってきます。店に入ると思ったよりずっと奥に深くて、手前のカウンター席に腰を下ろそうとしたら卓席を勧めて下さるので遠慮なくテレビ前の特等席を独占させて貰いました。小上がりではサラリーマン客が大いに盛り上がり間もなく終宴を迎えんとしていたのです。そうそう、こういう店こそがサラリーマンの呑みには相応しいのだよ。と、書いたそばから何ですが、何とこのお店は女性客のグループが実に多いのでした。看護師さんの集まりは愚痴や噂話が大概だけれど、キツい仕事の後の開放感に満ち満ちていて陽気であっけらかんとしていたから聞いていても不快には感じられぬのでした。肴もド定番は当然ひと通り揃っているけれど、今時の立呑屋のアレンジメニューにインスパイアされたのか、それともそのずっと前からの隠れた定番なのかは知らぬけれど、コロッケのカレーがけなんてのを頼んでしまうのです。別にそれぞれは普通の味なのだけれど、一緒に食べると実に良い酒のお供になるのでした。実はこうした懐かしいムードを残しつつ進取の気性を併せ持った店が今でもあちこちに残っているのかもしれません。これから呑み屋を物色する際には見落とさぬよう注意したいと思うのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/11/13 08:30:06 AM
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