|
テーマ:■オンラインレンタル■(147)
カテゴリ:アメリカ映画
本物の奇形・異形の人間が大挙登場する“伝説の”古典ホラー。サーカスの花形クレオパトラは遺産目当てから小人のハンスと結婚、彼の毒殺を図るが、その企みは見せ物仲間にばれてしまう……。 アメリカでの公開時にはスキャンダラスな話題が続出、全米各州で上映禁止となるなど世界中で一大センセーションを巻き起こした映画史上に残る問題作。 感想の書きにくい映画ですが、頑張って書きます。 監督は、もともとサーカス団にいたというトッド・ブラウニング。 この後に「魔人ドラキュラ」も観ましたが、本作の後では薄れてしまいました。 この衝撃が大きすぎて。 作られた年代や意図、なにより‘映画として’素晴らしいと思う。 怪物と言われ蔑まれる役を、生まれつき障害のある人々が役者として実際に演じています。 彼らを見ることで受けるショックは、当時のものとはかなり違うはずですが、未知のものを見たくなる衝動は、誰にもあるはず。 そして好奇心で見た、そういう俗っぽいいやらしさがある自分を感じました。 美しいサーカスの花形は、陰では彼らを疎んじて馬鹿にしている酷い女。 その汚らわしさは、観る者の中にも同じくあることを感じます。 小人症のハンスと保険金目当ての結婚をして、毒殺を企て、フリークスと呼ばれる彼らに復讐される、明快なストーリー。 この問題作がどうして目から鱗ほどにすごいと感じたのか。 単純に恐怖や好奇心を呼び起こす彼らが、リアルであるということ。 そして役者として素晴らしいということ。 そして人間の醜悪さが最もストレートに描かれているからではないかと思います。 綺麗事はいらない気がしました。 この作品に出演したことで、見世物として永遠にフィルムに残ることとなった人々。 実際はスターだったそうですが・・・ その堂々たる演技で、この映画を観た、そしてこれからも観続けていく健常者の胸の黒い部分をえぐっていくのではないでしょうか。 それは彼らにしかできないこと。 しっかりしたドラマ性も良かったです。 こちらは「死ぬまでに観たい1001本の映画」のなかの一本です。 監督 トッド・ブラウニング 製作 トッド・ブラウニング 脚本 ウィリス・ゴールドベック 、レオン・ゴードン エドガー・アラン・ウルフ 、アル・ボースバーグ 原作 トッド・ロビンス 出演 ハーリー・アールズ 、オルガ・バクラノヴァ ウォーレス・フォード 、 ロスコー・エイツ レイラ・ハイアムズ 、ヘンリー・ヴィクター モノクロ(65分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[アメリカ映画] カテゴリの最新記事
小頭症、小人症、ひげ女、結合双生児、知的障がい者などなどが出演するこの映画。この作品の監督の意図は俺はこう解釈する。‘世界で上映禁止な映画を撮影した俺だが、お前らはそれを金を払っても観たがっているもっと下劣な人間だ!’って。はっきりいって俺も見世物小屋的な感覚でこの映画を観た。人間の持つ暗黒面をえぐりだす映画やと思う。
レオ (2006.12.14 07:11:52)
DVDを持っていますが、それほどのものではと思っています。ただ、この監督の姿勢には好意を持っています。みなさんは99%の健康な体と精神を持つ人しか見ていないのですけど、そうでない人を見慣れている目から(私の職場はそういうところです)観ると、身体的奇形など、この映画でもそうですが、たいしたものではありません。(この映画に出てくるフリークスや、エル・トポに出てくるフリークスなんて歩けるだけ健康な部類に近いですよ。こんな軽い身体・精神・知的障害を観て、障害者の置かれている本質を忘れてしまうほうが問題だと思います。)むしろ、健常と思っている99%の人々の精神が、近年徐々に病んでいっているように思えます。こちらのほうが、数が多いだけに心配です。障害者自立支援法を作ったり(厚生労働省)、それを国会で通したり(国会議員)、その動きにまるで注意を払おうとしなかったり(マスコミ・および「一般国民」)といった態度こそが、障害者の差別・迫害に結びついていると思います。映画の話が堅い話になってすみません。
(2006.12.14 10:44:07)
こんにちは。
>障害者の置かれている本質を忘れてしまうほうが問題だと思います わたしには重度軽度に関わらず、障害者の本質ではなくて、健常者の本質を問うた作品のように感じました。 でも仰りたいことはよくわかります。 映画としてどうか思うとき、やっぱり観てよかったと感じます。 この映画が作られたときは、映像によるショックを確かに狙ったのだとも思いますが、70年経った今、受け止める意識も変わったはずですね。 (2006.12.14 14:38:39)
ただただ、差別的だからと、忌避せずに、率直な感想を書かれるところ、流石ですね。
この映画は観たこと無いですが、ヘルツォークによる、「小人の饗宴」という作品を観た際、様々な風刺やイデオロギーといった本質的な面で、見応えのある映画だなあと思いました。 (2006.12.14 14:48:16)
今よりも昔の方が障害のある人たちへの差別が露骨なんだろうなって思います。
こっちの有名な祭りには見世物小屋の名残みたいなものもあるので。 でも、今は作りものの脚をつけて「たこ女」とか言って騙してるんですけど。 やはり私もあまりにも普通ではない人を見かけたらトドキっとしてしまうのも本音です。 どこからが人権の侵害になるのかわかりませんが、過剰に上映禁止、放送禁止にしてしまう側に差別心があるな~といつも思ってしまいます。 (2006.12.14 15:45:32)
トッド・ブラウニングの視線の、描き方の優しさがあふれた映画ですね。障害者だって人間ですもんね。
上映禁止、臭い"者"には蓋をしろなんですかね・・・腹クソ悪い。 (2006.12.14 21:47:30)
こんにちは。
そういっていただけると安心します。 >ヘルツォークによる、「小人の饗宴」 こちらもいつか観たいです。 見ごたえある作品なのですね。 小人症の方は今も、ファンタジー映画などでは雰囲気を盛り立てる役どころ。 ハリー・ポッターのグリンゴッツの銀行員、ネバーディングストーリーなんかでも。 作品のなかでは大事な役ですね。 (2006.12.15 08:16:27)
こんにちは。
>こっちの有名な祭りには そうなんですか。伝統的なお祭りなのでしょうね。 わたしも上映禁止など、観せなければいいという考えは疑問です。 この映画だって、作品としてもすごく価値あるはずです。 珍しいものが気になる人間の生理を、ちゃんと受け止めたうえで考えさせる映画でした。 (2006.12.15 08:23:48)
こんにちは。
そうなんです。演じた彼らは人間でしかありえません。 出演して演じて、70年経ってもこれだけ人の心を揺さぶるのだから、いい仕事をしています。 ・・と私には感じました。 >臭い"者"には蓋をしろなんですかね・・・腹クソ悪い 同感です。 (2006.12.15 08:26:34)
この人達はなぜフリークと呼ばれなきゃいけないのか?
ただ、外見は私達と違います。でも、きっと心は私達より素晴らしいものを持っているのでわないでしょうか? (2007.05.19 19:47:18)
はじめまして。
当時と今とでは、受け取られ方の随分違う作品と思います。 フリークと呼ばれるとしても、外見は違っても、演技者としてプライドを持って望んだのではないでしょうか。 だから今も観る人がいて映画史に残る作品になったのでしょうね。 (2007.05.20 00:10:05) |