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カテゴリ:読書・映画
ナポレオンはこの物語を7回も読み返し、エジプト遠征のときにもピラミッドの下まで携行したといわれている。その例に倣って私も蔵王温泉堀久旅館の部屋にこの本を持ち込んだという訳だ。ツッコミどころその1か。 ウェッツラールに赴任した気鋭の法務官ウェルテルは、フォルベルツハウゼンの狩猟館の舞踏会でシャルロッテと知り合い、「その魅力の糸に包み込まれ」てしまう。 しかしロッテには、宮廷づとめの高官でウェルテルの友人でもあるケストナーという許婚者がいた(私はこの名前をみてドラマーのジム・ケルトナーを想起した、関係ないが)。 ケストナーは、ウェルテルがロッテを度々訪問するのを疎ましく感じながら、彼への紳士的な態度を崩さない。 またロッテは、ウェルテルの奔流のような愛情と才能に心から共鳴しつつも、生涯の伴侶として分別ある大人、ケストナーへの尊敬と愛情を、強い意志で保持し続ける。 ウェルテルは、自らの恋慕の情のから回りに憔悴し、法務官の職を自ら投げ打つばかりか、ある日ロッテへの愛にも絶望し、ついには決定的な破滅を迎える。 (ウェルテルの書簡より) 「僕たち三人のうちひとりが去らなくてはならないのです。 僕がそのひとりになろうというのです。」 多くの人は、青年期に、溢れ返るような衝動に絶え間なく突き動かされたり、ひとつの考えのとりこになって、回りを見失うという経験をしているだろう。 私も振り返ると、まったくそら恐ろしくなるようなことばかりしていた。 今でも高校の同窓会に出ると、クラスメイトによく「おまえはあの頃、危なっかしかったなあ~」などと言われる。 この高校はまた、ケストナーのような奴ばかり集まっていたのだが。 当時、タガの外れていた私を滅ぼさなかったものは何だったのだろうと考えることがある。 たぶん、核心をつく答えはこれだろう。 才能のなさに助けられたのだ。 ウェルテルは、おのれのありあまる能力と、それゆえの誇り、驕り、そしてそれゆえの精神の鋭利さ、それが彼の肉体を切り刻んだ。 私には幸いなことに、そうした身を苛む能力がなかった・・・。 そうに違いないのだ。 さて話は急展開するが、あの「お口の恋人LOTTE」は、この物語のヒロイン、シャルロッテにちなむものである。 知っておられましたね。 いかん、書き方が書簡調に・・。 次回は、この作品から、特に印象深いフレーズを紹介させていただく。 次々回は、この作品を、ゲーテの実生活と重ねあわせてみよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Oct 10, 2006 06:07:19 AM
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