1月第5回‘熱帯’
1月第5回‘熱帯’とりあえず森見さんの作品で新しいところ。無限に話が広がっていきそうなカタチで意欲的な小説。(恐らく意欲的というのは森見さんとしては嫌うところなのかもしれませんが)構成はいつものごとくか。前半は現世の物語が進む。その後ファンタジーのような世界へ。私の好みとして森見さんの現世の物語の語り方がすごく好きで、ファンタジー部分は正直なところいつもついていけなくなる。(これは私に想像力がないからなのでしょうけど。)今回はこのファンタジー部分の量が多い。後半の現世でないところはどうやって最後まとめるのだろうと気が気でなかった。この物語の手法上、物語の主体が変わっていくのも理解できるのですが、前半の現世部分の謎解きを行う池内と白石に、私は途中までにすごく感情移入してしまっていたので、最後の二人の扱いにあれ?そういうことか.....と、もう少しこの二人の物語も読んでみたかったかな。最終盤の現世が、いつの現世なのか、それは今私たちが存在する世界の現世なのか、読者にお任せなのでしょうけど、そういうオチできたか.....と、無限ループを考えさせ気が遠くなった。熱帯 [ 森見 登美彦 ]