9月第4回‘シンセミア 下’
9月第4回‘シンセミア 下’読了。読んだなぁ...という感じ。内容はひとまず置いておいて、文字が詰め込まれた(私にとっては)奇想天外なこの物語をよく書いたものだと感心します。阿部さんの頭の中が見てみたい。作家さんとはすごいものだと思います。話の途中で、多くの登場人物の関係性がわかるし、一番肝心の隈元という青年の素性は最後の説明を読まなくても、なんとなくそうだろうなというのも理解していたので、伏線ー回収の驚きはなかったけど、クライマックスと思われる一晩の登場人物それぞれの終わり方が‘人’の滑稽さ(特に追い込まれた時の)がよく出ていて、壮大なるブラックコメディーを見せられている感じで、こういう小説もあるのだなぁと思わせてくれました。‘上’の時から思いましたが、これだけ多くの登場人物ほとんどに‘闇’を背負わせ、関係づけていく能力はすごいなと思います。能天気で世間知らずの私にはいささか刺激の強い‘闇’でしたが。シンセミア(下) (講談社文庫) [ 阿部 和重 ]